研究課題/領域番号 |
08458203
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
若林 健之 東大, 理学(系)研究科, 教授 (90011717)
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研究分担者 |
安永 卓生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60251394)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | モーター蛋白質 / アクチン / ミオシン / クライオ電子顕微鏡法 / ホログラフィック像再構成法 / 生体高分子単一分子の可視化 / タンパク質3次構造 / タンパク質間相互作用 |
研究概要 |
我々は、クライオ電子顕微鏡法・ホログラフィック画像再構成法を用いて、生きたミオシン単一分子の可視化に成功した。ヌクレオチドを結合していないミオシン頭部及びADPやADP・Piを結合した頭部をそれぞれ可視化でき、生物物理学会にて報告した(安永ら、1996)。更に、電子顕微鏡により得られた頭部像をX線結晶解析から得られた原子モデルと比較することによって、単一分子ミオシンの軽鎖結合部位やアクチンクレフトなどのサブドメイン構造を議論できた。このことは、我々が得たミオシン頭部のホログラフィック像からの再構成像が、高い分解能と十分なコントラストを持っていることを示す。また、同一溶液条件中でも、大きく2つの異なる構造(結晶中の構造と類似の構造と、軽鎖部位の異なる構造)が得られ、ミオシン構造の多型性に関する情報を得ることができた。かくして、我々が開発してきたホログラフィック像再構成法はタンパク質単一分子を可視化し、ナノレベルの構造を十分に議論することができる。 また、ミオシン頭部とアクチンとが相互作用している現場を捉えることに成功し、生物物理学会にて報告した(橋場ら、1996)。得られた像は、ミオシンとアクチンが様々な角度で相互作用しあっており、アクチンミオシンが滑り運動中に相互作用部位を変化させているという新しい筋収縮モデルを提唱する。我々が得た像は単一分子であり、平均的な観測から得られないは情報を取り出すことができる。この研究を発展させることにより、筋収縮の分子レベルのメカニズムの解明に、電子顕微鏡を使った構造学の面から迫ることができる。 更に、タンパク質工学の手法を用いて変異アクチンを作製し、アクチンとトロポミオシンの結合部位を明らかにし、Biochemistry誌に報告した(佐伯ら、1996)。変異アクチンの一つは、野生型よりも、より高い協同性を持つ筋収縮制御能をもつ。従って、三次元クライオ電子顕微鏡法により、変異アクチンの三次元構造を解明することにより、はっきりとした筋収縮制御機構を示す事ができる。
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