発現の確認が簡単にでき、しかも、観察後に培養を続けたり、仮親に移植したりすることが可能なマーカーとして発光オワンクラゲの産生するgreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を取り上げ、約2000個以上の卵子に遺伝子を注入して100ライン以上のトランスジェニックマウスを作製した。いずれも卵子の段階で緑色の蛍光を発することが確認された。 さらに、GFPとneo耐性遺伝子をES細胞に電気的に導入し、現在までに約30クローンの緑色蛍光をもつES細胞を得た。この中からカリオタイプを検査したところ、正常なクローンが8つ得ることができた。 Fish法によりどの染色体に、トランスジーンが組み込まれたかを検討したところ、現在までに、X染色体に3つ、Y染色体に1つのくみこみがおこったことを確認した。 これらのトランスジェニック卵子は、受精後3日以内に緑色の蛍光を出すようになるので、着床前に雌雄胚の分別を行うことが可能になった。 雌雄の分化の仕組みがどのように異なっているのか、あるいはX染色体の不活性化がどのようにおこるのかなど、このマウスを利用することによってのみ解決可能な領域が多く存在する。そのための、実験モデルマウスの系を作り出すことに成功した。
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