研究課題/領域番号 |
08458268
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏道 大阪大学, 健康体育部, 教授 (50154092)
|
研究分担者 |
市川 健彦 大阪大学, 健康体育部, 助手 (30273717)
七五三木 聡 大阪大学, 健康体育部, 講師 (20271033)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
|
キーワード | 一次視覚野 / 特徴抽出性 / 刺激文脈依存性 / ネコ / 機能ドメイン / 水平結合 / 視覚的注意 / 図-地分化 / 受容野特性の修飾 / 文脈依存性 |
研究概要 |
大脳皮質一次視覚野(V1)のニューロンは視覚刺激の傾きや、長さ、空間周波数、色など様々の図形特徴に対して選択的な応答特性を示し、これは知覚対象の要素的特徴を抽出処理するためのフィルター機能と考えられる。このようなV1ニューロンの応答は受容野内に呈示された刺激特徴によって一義的に決まるものではなく、受容野と受容野周囲の刺激との関係に依存して修飾をうける。 本研究では麻酔・非動化したネコのV1より単一ニューロン活動を記録し、受容野に呈示した高コントラストのストライプ刺激(C刺激)に対する応答が、受容野周囲のストライプ刺激(S刺激)によりどのような影響を受けるかを解析した。その結果、II/III層の複雑型細胞において強い抑制性修飾を受けるものが多く見いだされた。受容野のみを最適方位・空間周波数のストライプで刺激したときの応答と比較して、受容野および受容野周囲を同じ方位・空間周波数のストライプで刺激したときの応答と比較して、受容野および受容野周囲を同じ方位・空間周波数のストライプで刺激した場合には、II/III層細胞で平均63%の抑制が見られたのに対し、IV層細胞では18%の抑制だった。またS刺激による抑制性の修飾は、S刺激の方位、空間周波数がC刺激のそれに近いほど強力だった。S刺激をマスクして受容野周囲からの影響がどの程度の広がりをもつのかを検討する実験の結果、受容野周囲の5-8度(視角)の視野に対応するニューロン活動が修飾作用の原因となっていると見られた。 このようなV1における受容野および受容野周囲の刺激布置に依存したニューロン活動の修飾については複数のグループから報告があり、知覚的には一様な図形パタンが存在する視野部分についての出力を抑え、背景から区別される視覚対象についての処理を促進するという意義が考えられる。そのV1内のメカニズムとしては、1)共通の刺激特徴に選択性をもつ機能ドメイン(方位ドメイン、空間周波数ドメインなど)間の相互作用、2)広視野の一様な刺激特徴の処理に関与する興奮性神経回路において応答の順応が生じること、などが考えられる。
|