研究課題/領域番号 |
08458284
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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研究分担者 |
三好 浩稔 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70292547)
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
鎮西 敬子 筑波大学, 基礎医学系, 講師
鎮西 啓子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 腹膜播種性腫瘍モデル / 蛍光トレーサー法 / Fischer344系ラット / 腸間膜 / 共焦点レーザ走査型顕微鏡 / 白血球 / fMLP / 蛍光トレーサ法 / 腫瘍 / 微小循環 / 血管新生 / バイオメカニクス / 腹膜播種性腫瘍 / Hortonの法則 |
研究概要 |
1.腹膜播種性腫瘍モデル 7週齢のFischer344雄性ラットの腹腔内の継代培養した同系由来の大腸癌細胞株であるRCN-9(理研細胞銀行)を1×10^7個注入することによち、腹膜播種性腫瘍を形成させた。2.血管新生の過程の定量的評価 血管新生の過程を定量的に評価するため、腫瘍細胞播種後3〜12日後の腸管膜の血管網をHortoneの枝わかれの法則にもとづいて評価した。血管密度の指標となるvascular density index(VDI)は、腫瘍細胞播種後のいずれの時期においても細静脈系において細動脈系よりも大きな値を示した。VDIは細動脈系、細静脈系ともに腫瘍細胞播種後の時間経過とともに増大したが、その増加率は細静脈系においてより大きく、血管新生が細静脈系に優位に生じているものと考えられた。一方、一本の血管が何本の枝を分子するかの指標となるbifurcation radio(BR)は、いずれの時期においても細動脈系が細静脈系よりも大きな値を示した。細動脈系においてはBRは全期間でほぼ一定の値を示したのに対し、細静脈系においては時間経過とともに増大した。3.新生血管網の血流動態の評価 腫瘍の栄養血管の血流動態を評価するため、腸間膜上に観察される新生血管の赤血球流速と血管径を計測した。赤血球流速は、dual-sensor法により計測した。内径10〜50umの細動脈、10〜70umの細静脈について血流速度を計測した。血流速度は細動脈では0.5〜20mm/sec,細静脈では0.5〜5mm/secの範囲に分布し、血管径の増大とともに増加する傾向を示した。細静脈では同程度の血管径においては腫瘍播種群におい血流速度がより緩徐な傾向を示した。すなわち、同程度の血流量の血管において、腫瘍播種群ではより血管径が太い傾向を示した。この傾向は、腫瘍播種群の中でも、種瘤から直接流出する細静脈においてより顕著に認められた。4.腫瘍組織内における白血球の挙動 腫瘍組織内では、正常な腸間膜の細静脈に比べて、血液の流れが緩徐であるにもかかわらず、白血球の接着性が有意に低い傾向にあった。また、二種類の白血球走化性因子の投与により、腫瘍組織内のに微小循環動態に有意な変化は認められなかったが、白血球の接着性に関しては、二種類の走化性因子それぞれに異なる反応性を示した。すなわち、fMLPの投与により、粘着を示す白血球の数が増加し、LPSの投与によりローリングを示す白血球の数が増加する傾向を示した。以上の結果から、腫瘍組織内の新生血管においては、接着分子の発現ないしはその分布が正常な細静脈とは異なる可能性が示唆された。
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