研究課題/領域番号 |
08459003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鎌田 博 筑波大学, 生物学科系, 教授 (00169608)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | ニンジン / シロイヌナズナ / 不定胚 / 種子胚 / アブシジン酸 / 乾燥耐性 / 細胞内情報伝達 / 遺伝子発現調節 / C-ABI3遺伝子 / 遺伝子発現制御 |
研究概要 |
種子における乾燥耐性獲得においては母植物から供給されるアブシジン酸(ABA)の情報が細胞内情報伝達因子(転写制御因子)であるABI3/VP1タンパク質を介してLeaタンパク質遺伝子群の発現・蓄積を促すことで引き起こされると考えられている。しかし、種子胚は発生段階の揃った材料を得にくいことから、乾燥耐性獲得の分子機構についてはほとんど研究されこなかった。そこで、発達段階が揃った胚を大量に供給できるニンジン不定胚を用いて研究を行った。まず始めに、不定胚をABAで処理することで強い乾燥耐性が獲得されることを確認した。次に、ABI3/VP1因子のニンジンホモローグ(C-ABI3)を単離し、その発現を調べたところ、胚(不定胚および種子胚の両方)特異的であった。また、種子胚においては種子内ABA含量の一時的増加より前の時期からその発現が見られた。さらに、C-ABI3遺伝子を異所的に発現するニンジン形質転換体およびニンジン形質転換培養細胞を育成し、ABA処理時のECP遺伝子(胚特異的かつABA誘導的に発現するニンジン遺伝子群であり、Lea遺伝子群に属する)の発現を検討した。その結果、形質転換体の葉および形質転換培養細胞において、ABA処理によってECP遺伝子が新たに発現するようになったが、その発現はECP遺伝子の種類によって異なっていた。また、ABA処理した形質転換培養細胞では、弱いながらも明確な乾燥耐性が見られた。一方、ストレス処理によって不定胚形成能が誘導される際(形態としての不定胚分化は見られない時期)においてもC-ABI3遺伝子の発現が見られた。このような結果から、C-ABI3は胚特異的転写制御因子であること、および、ニンジン種子における乾燥耐性誘導の制御因子はABAであり、C-ABI3遺伝子産物がその情報伝達の仲介因子として機能することで、最終的にはECP遺伝子群の発現を通して乾燥耐性を獲得させることが明らかとなった。
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