研究分担者 |
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50190799)
清水 俊 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60294146)
出水 秀明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294153)
板橋 隆久 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20112071)
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70135656)
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研究概要 |
超流動液体ヘリウム中の不純物イオンや原子の特異な振舞を研究するため,大阪大学においてクライオスタットを試作した.このクライオスタットは通常の型と異り超流動ヘリウム容器がL型になっていて,高速イオンの注入と,静磁場のもとで磁場の方向に関するβ線放出の非対称性が測定できるようになっている.超流動ヘリウム中でスノ-ボールを移動させるための静電場用の電極と,芯となる不安定核の核磁気共鳴を観測するための装置を備えている.また搬送されたイオンを液体ヘリウム面からとり出し収集電極に集め放射線計測を行うことができる. 液体ヘリウム温度で安定に動作する実験系をつくるため,クライオスタットを何度も改良を試み現在1.1k近くまで温度が下がるようになっている.まだ温度と機械的安定度が十分でなく,この点改良を行っている.本来L型の構造では相当無理なことはあるが,それなりの性能が出たことは大きな進歩である. 放射性核ビームによる重イオン核反応で生成される多種の新アイソトープなどを収集しトラップしてスペクトロスコピーの実験が可能となるようトラップする実験を行っている.実験研究はクライオスタットが完成して,大阪大学核物理研究センターのリングサイクロトロンENコースや理化学研究所のリングサイクロトロンのRIPSで共同利用実験として役立てることを想定している.検出器系のテストも京都大学理学研究科のタンデム加速器を用いて実行した. 海外,国内での国際会議や研究会におけるこの研究に関する講演などや論文を数点発表できた.特に中性成分の特異な振舞について決定的な結論が出ていないかが問題の解決の糸口を見付けたと考えている.この計画の成果を,さらに液体ヘリウム中でのイオン原子の動きに関する基礎的実験にもってゆきたい.
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