研究概要 |
スピン偏極した短寿命核からの非対称ベータ崩壊を利用する核磁気共鳴(β-NMR)法に多重高周波磁場印加による核スピンの人工的操作を導入し、新核四重極共鳴法(非対称β崩壊指標)を実用化した。 【1】比較的軽い多種類のプローブ核を開発した。高エネルギー入射核破砕過程に出射角度選別を組み合わせ、^<8,12>B,^9C,^<10,12>N,^<13>O,^<20,21>F,^<23>Mg,^<27>Si,^<35>Ar,^<39>Caの核スピン偏極生成に成功、ついで、低エネルギー核反応による核スピン偏極現象を、^<20>F,^<11>O,^8Li,^<16>Nについて調べ、これらのプローブ核生成の最適条件を与えた。 【2】新核四重極共鳴法を開発した。核四重極相互作用の下で分裂したNMRの共鳴線に同時に高周波を印加し、速い断熱通過法も導入して高効率の核四重極共鳴と核スピンの人工的操作法開発に成功した。この実現のため、真空コンデンサーのスイッチングによる高速同調システムを開発し、広い周波数範囲に分散する共鳴線に強い高周波磁場を印可する技術を確立した。この方法を、核スピンI=1の^<12>B、I=3/2の^<23>Mg,^<35>Ar,^<39>Ca、I=2の^8B,^<16>N、I=5/2の^<19>O,^<21>F,^<27>Si,I=7/2の^<41>Scに適用した。 【3】結晶中電場勾配と電子バンド構造の解明を行った。実験で得られた電場勾配と、第一原理に基ずく電子バンド計算とを比較し、不純物の荷電状態や、まわりの結晶格子の緩和の影響を研究した。 【4】開発された核スピン制御技術を応用し、核スピン偏極と整列の間の相互変換を任意の核で成功した。即ち、^8B,^<20>F,^<41>Scの核スピン整列生成に成功し、ベータ線の角度分布の整列相関項を精密に観測した。
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