研究概要 |
以下に示すように,境界要素法による新しい順解析手法,最適化手法および逆解析手法を考案することにより,長大な地中埋設物のカソード防食の最適設計および最適実施条件を決定することのできるシステムを開発した. カソード防食された長大構造物が複雑な(空間的)電気伝導度変化のある地盤にまたがる場合の電位および電流密度を解析する方法を提案した.電気伝導度が(空間的に)直線的に変化する地盤に対処するために,支配方程式の基本解を新たに導出するとともに電気伝導度の変化に応じた分極特性の連続的変化を境界代数方程式系の係数行列の中に組み入れるなどの工夫を施した.また,高速多重極境界要素法の3次元腐食問題への適用について検討した.特に,無限場に対する対応,分極特性に起因する非線形性の取扱い,パイプ要素を用いた場合の多重極展開などについて詳しく検討し,この方法が大規模な腐食解析問題に有効であることを示した. つぎに,カソード防食の最適化に関する従来の研究を展望し,長大な地中埋設構造物のカソード防食の設計や実施における合理的な各電極の配置や防食電流の決定方法を探求する指針を得た.長大な地中埋設構造物を土壌腐食から守るカソード防食の最適化を行うための境界要素法を先に求めた基本解を用いて開発した.電気伝導度の変化に応じた分極特性の連続的変化を境界代数方程式系の係数行列の中に組み入れるとともに,構造物が長大になると構造物自身の電気抵抗も無視できなくなるので,この影響も考慮できるようにした. 最後に,境界要素法による逆解析手法を適用することにより,試料電極上の電場の不均一性から生じる誤差の低減する方法を提開発した.さらに,腐食速度推定逆問題を境界要素法により定式化し,逆問題に付随する不適切性について説明し,この不適切性を克服するために,あいまいな情報も含めて様々な先験情報を積極的に利用する逆解析手法を提案した.
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