研究概要 |
破壊事故の原因究明,金属破壊機構の解明のためには,従来の平面的な破面の情報だけでなく,表面の三次元的な立体構造を定量的に知ること必要不可欠である.本研究は,光学顕微鏡の可視光波長および電子線波長の寸法領域における破面の三次元微細構造を解析する装置と形状画像解析処理ソフトウエアの開発をおこない,これにより破面診断として有効な学問・技術となり得る三次元フラクトグラフィを提唱することを目的としている. レーザーフォーカス変位計を備えた表面形状測定光学顕微鏡の試料台に水平送り機構を付与し,コンピュータ制御の二方向極微小送り機構を開発した.これにより三次元形状測定を可能とし,汎用のパーソナルコンピュータによる電子顕微鏡像の立体形状全自動化解析システムを開発した.まず,開発した装置の精度を確認した後,引張試験,シャルビー試験により得られた破面を対象に,二次元的な破面領域の凹凸形状をコンピュータに取り込み,開発した立体形状画像解析処理ソフトウェアにより鳥瞰図,等高線図等の三次元画像を得ている.へき開破面のファセット長さ,ディンプル破面のディンプル深さを測定し,破面の三次元的かつ客観的な定量解析を可能としている.本システムは衝撃破壊,疲労破壊,不安定延性破壊などの多くの破壊モードの破壊面にも適用可能であり,事故解析や破壊機構の究明に対するフラクトグラフィの適用範囲を大いに広げるとともに,診断や判定を容易に信頼度高く行うことができ,三次元フラクトグラフィが破面診断の有効な手段となり得ることを示している.
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