研究概要 |
砥石の常用周速は30〜45m/sであるが,周速を上げれば,加工精度を犠牲にすることなく加工能率を飛躍的に改善することができる.本研究では,新たに開発した超拘束平面研削盤を使用して,超拘束研削下における研削特性について調べた. 本研究では,(1)平行して行った高速・高出力スピンドルの潤滑法に関する研究成果(リリテ-ナ潤滑法の開発)の応用により,現在のスピンドルを改良して出力35kW,30,000rpmとし,周速500m/s域での研削実験を可能にした.(2)周速500m/s域での研削に耐えられる高強度砥石の開発.(3)V≦300m/sで得られた軟鋼研削時の以上磨耗の改善や砥石寿命の向上が,V≧300m/sでさらに顕著になることを確認した.(4)研削液供給法に関して最適化を行った.(5)常用速度の約30〜50倍に相当する,研削能率≧500mm・Sでの高能率研削を実現した.(6)高剛性の研削動力計の導入により研削抵抗の高精度測定を実現し,研削の基本特性値である比研削抵抗が超高速下でどのように変化するかを明らかにした.要するに本研究の目的は,V≧300m/sの超高速研削の実用化に向けてその利点と技術的な課題を明らかにした. ドイツでの研究をはじめ従来の研究ではいずれも350〜450mmの大径砥石が使用されている.しかし筆者らの研究では,超拘束研削の実用化には動力損失および研削点温度の低減,遠石寿命の向上が不可欠であり,そのためにはより小径の砥石が有利であるとの考えから,通常用いられる250mmの砥石を基本にした.そのためスピンドルの高速化が必要であり,新しいオイル&エア潤滑法の採用により,dn値=20,000,30,000rpm,22kWの高速スピンドルを実現した. これらの結果から,超高速研削が実用化されれば,これまで切削加工と研削加工の2工程で行われていた加工が,研削だけの1工程だけで達成できることになり,大幅な加工コストの削減になる.
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