研究分担者 |
佐藤 光太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (80252625)
横田 和彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (70260635)
吉田 義樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80240836)
中西 敏雄 石川島播磨重工業, 技術研究所, 課長
藤田 敏彦 宇宙開発事業団, 宇宙輸送システム部, 主任
長島 利夫 東京大学, 工学研究科, 教授 (70114593)
上條 謙二郎 (上条 謙二郎) 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90282003)
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研究概要 |
H-IIロケット開発の成功に伴い我が国の技術も欧米と肩をならべるに至った.しかし,H-II,アリアンV,スペースシャトル改良型液体酸素,水素ターボポンプインデューサの開発過程において旋回キャビテーションの発生が相次いで認められ,これが高性能インデューサに共通の問題であることが認識されている.従来はもっぱら定常吸込性能の確保に着目してインデューサの設計がなされていたが,この様な状況下では基本設計の段階で旋回キャビテーションの防止,軽減に配慮する必要がある.本研究では不等4枚羽根インデューサを用いることにより旋回キャビテーションを防止,軽減する方法を理論的・実験的に検討した. (1)交互翼キャビテーション,旋回キャビテーションを理論的に扱った.まず交互翼キャビテーションは翼に固定した座標から見ると定常現象であることに着目し定常流れ解析を行った.その結果,特定の条件下では等長キャビテーションと交互翼キャビテーションの2つの解が存在することがわかった.次にこれらのキャビテーションの安定解析を行い,交互翼キャビテーション解が存在する範囲では交互翼キャビテーションが安定解であることがわかった.次に不等翼に対する解析を行い交互翼キャビテーション,旋回キャビテーションに対する安定性を調べた. (2)既存のLE-7液酸ターボポンプ用3枚羽根インデューサと同じ設計方針でほとんど同一の性能を持つ4枚羽根インデューサを製作し,キャビテーション試験を実施した.キャビテーション性能に対し前縁スウィープが大きく影響することが知られているので,これと同時にスウィープを持たないインデューサも製作・試験し,比較検討した.更にこの翼の前縁を切除し翼1枚おきに異なるスウィープを与えることにより不等性を与えた.その結果,スウィープが交互翼キャビテーション,旋回キャビテーションの抑制に効果があることがわかった. (3)実験的に得られた入口変動圧力波形をカオス解析し非線形的な挙動を調べた.(1)の理論解析はいずれも線形解析であり,また(2)の実験では主としてフーリエ解析のみを用いていたが,ここでは相図上のアトラクターを監視することで流動状況を知る手法の可能性を明らかにした.
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