研究概要 |
本研究グループの一人が過去に提案した,2色放射温度計の原理を応用した新しい赤外線温度画像システムについて,8年度では,その温度計測精度の改善に関する理論的検討およびその実験的検証を行った.本システムは、赤外線温度画像システムの検知波長領域をフィルターを通して2つの領域に分け,それぞれの波長領域において計測されるふく射強度のデータから,2色温度計の原理により温度を決定するもので,対象物の放射率が未知の場合でも正しい温度が得られることに特徴がある.このシステムでは,検知領域を2つに分割する波長(分割波長)が温度計測精度に強く影響を及ぼすとの予測から,ここでは,この分割波長が温度計測誤差に与える影響を理論的に検討した.その結果,温度計測誤差を最小にする最適分割波長が存在することを明らかにした. 9年度は,放射率および温度が時々刻々と変化する対象物に適応できるシステムの可能性を探るために,ミラーで切り替えできる二つの経路に透過波長域の異なるフィルターを設置したシステムを試作し,極短時間で温度画像を得られることを確認した.このことより,現在,実際に利用されている2次元アレイセンサーを2組搭載し,検知波長域を分割できるハーフミラー(例えば,長波長域を透過させ,短波長域を反射する干渉ミラー)を利用できれば,同時刻の画像を取り込むことは技術的に容易であり,本システムにより温度分布の動画像を得ることも可能であると予測された.
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