研究分担者 |
井上 喜雄 高知工科大学, 工学部, 教授 (50299369)
武本 益男 安全索道, 技術部, 部長
家村 浩和 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026362)
西原 修 京都大学, 工学研究科, 助手 (00218182)
本田 善久 京都大学, 工学研究科, 助手 (60181559)
MASUO Takemoto Anzen Sakudo Corp., Chief Engineering Manager
安田 正志 特許機器(株), 技術部, 部長
佐藤 国仁 東急車輛(株), 基礎開発部, 課長
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研究概要 |
本研究課題では,交走式ロープウェイ搬器のようなやや大型の索道搬器の風揺れを低減する制振装置について研究してきた.開発の主目的は,揺れの低減により索道の弱点とされる乗り心地を改善することである.一般索道,とりわけ,交走式ロープウェイには,受動形ジャイロ制振装置が適当と考えられる.しかし,類似のジャイロ機構が小型船舶の揺動低減などの目的で応用された事例はあるものの,索道搬器については未だ実用例が見られない.本研究では,分担研究者の理論的な研究成果としての受動形ジャイロ制振機構の安定度最大化設計に基づき,交送式ロープウェイ搬器での実用化を前提とした開発研究を進めてきた.初年度の平成8年度には受動形ジャイロ制振装置を製作した.本装置は,ロータ質量30kg,定格回転数3000rpmの受動形単一ジンバル構造を2台並列に動作させる構造である.下田ロープウェイの39人乗り搬器による予備実験では,ある程度の効果は確認されたが,ジンバル部のダンパが不調で,最適調整で予想される動作とは異なった応答が生じた.そこで,本年度はシリコンオイル封入形のダンパへ交換した上で,シ-ソ-形供試体により実験室内での動作確認と再調整を繰り返した.特に,ジンバルの固有周期と,ダンパの粘性減衰の調整は入念に行い,一方,制振トルクとして作用する強力なジャイロモーメントを伝達するジンバル枠は部材交換によって剛性を上げ,揺動動作の安定性を高めた.平成9年12月の牛岳ロープウェイ31人乗り搬器による実験では,最大で初期角が約7度の自由応答まで試みたところ30秒後にほぼ静止の状態に至るなど,いずれの実験例においても装置は安定して動作し,十分な制振効果が認められた.このような大きさのロープウェイ搬器の制振実験はいままで実行されたことはないと思われる.本実験結果は,分担研究者としての索道建設業者,関連のロープウェイ運行担当者らにより,ジャイロ制振装置の実用性を示すものとして評価されている.
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