配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1996年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
電力用デバイスの電気絶縁・放熱膜として利用可能な窒化アルミニウム(AIN)膜を,真空アーク放電で安価にかつ高速に作製する装置開発を目的とし,シールド型真空アーク蒸着装置を開発した。この装置は,従来から真空アーク蒸着法の課題であるドロップレット(溶融金属微粒子)の堆積を防止したものである。まず,従来型の蒸着装置とシールド型蒸着装置を用いて膜を生成したところ,従来型で生成した膜にはドロップレットが無数に堆積し,そのため膜は透明でなく,更に基板との密着性が悪く剥離しやすかった。これに対し,シールド型装置で生成した膜は,ドロップレットがほとんど付着しておらず,肉眼で見て膜は透明であり,基板に強固に付着していた。ドロップレッドの量を定量的に求めたところ,シールド型で作製した場合,従来型の場合の1/300以下に減少した。次に,プロセス圧力を変えて成膜を行い,生成膜の諸特性を分析した。その結果,以下のことが明らかとなった。 1. シールド型蒸着装置で生成したAIN膜は可視領域から赤外において透明で,屈折率は約2.0,消衰係数は10^<-2>以下である。 2. シールド型蒸着法で生成した膜は,硬さが約17GPa,弾性率が180GPaと,ガラスより硬い。プロセス圧力が高くなると,膜が柔らかくなる。 3. シールド型蒸着装置の成膜速度は,マグネトロンスバッタ装置のそれの1.5倍以上である。 4. 従来型装置で生成した膜は・基盤に対してC軸配向であるが,シールド型で生成した膜はa軸配向である。 以上のことから,開発したシールド型真空アーク蒸着装置を用いて,光学的および機械的特性に優れたAIN膜を作製できることがわかった。また,膜がa軸配向であるということから,電気絶縁性が優れていると予想できる。今後,生成膜の絶縁性および熱伝導性を評価する。
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