研究概要 |
本研究は,平成8-9年度の2カ年,Spinning Water Atomization process(SWAP法=高速回転水流アトマイズ法)を用いて優れた軟磁性を有するアモルファス粉末を作製し,さらに,これら粉末を原料粉として,成形バルク化を行い高周波電力用のアモルファス粉末成形磁心を開発することを目的として種々の検討を行ってきた。 8年度はFe-Si-B系の急冷凝固粉末の試作と成形バルク化の基礎的検討を行い,その結果,粉末作製では微細粒から粒径300μm程度の粗粒まで生産性よくアモルファス化が可能な方法・条件を見出し,良好な軟磁性を得ることが出来た。また,成形加工では試作アモルファス粉末と10%程度の少量のガラス粉末の混合粉をホットプレス法を用いて,結晶化温度以下の比較的高い温度で加圧成形を行い,商用のギャップ付きアモルファス薄帯磁心やセンダスト磁心と同程度の透磁率と磁心損失の磁心の試作に成功した。 9年度はこれら成果を基にFe-Cr-Si-B-C系について合金組成並び粉末作製の方法・条件を詳しく検討し,さらに成形条件・熱処理条件を種々検討した。その結果,平均粒子径約40μm(初年度比の1/3),保磁力Hc=0.2-0.3[Oe](初年度比の1/2以下)の粒径の小さい良好な軟磁性をもつアモルファス粉末を作製することができた。 さらに成形磁心の作製では,粉末の粒子間絶縁の改善および熱処理を詳しく検討した結果,チョークコアやフライバックトランスとして実用化可能な透磁率100(周波数特性1MHz)を有する磁心で,100kHz,0.1Tの励磁条件で,磁心損失6〜7[J/m^3](初年度比の約1/2)の特性を最近達成した。この値は,商用のギャップ付きアモルファス薄帯磁心やセンダスト磁心の1/2の低損失である。また,前者に対しては漏れ磁束が極めて小さく,後者に対しては飽和磁束密度が高い利点を有しており,さらにフェライト並みの任意形状の成形加工性も有しているなど,実用化が十分期待できる成果が得られた。
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