研究概要 |
12Gギガヘルツ帯の小型アンテナの放射パターンの特性測定を行うため,小型の電波暗室と平面波発生用のアンテナを試作した。最初に,発砲ポリスチロールの平板に円錐状の穴をあけ,その中にカーボン粉末を封入して電波吸収体を製作した。この電波吸収体を一辺が約3.6mの部屋に取り付け,電波暗室を完成した。垂直入射に対する反射係数は12GHzで-40dB程度が得られた。平面波発生用の導波管アレーアンテナについては,本研究室で従前に製作済みであった平面導波管アレーアンテナ(PWAA)の特性改善を試みた。最初に,テストアンテナからの反射を低減する目的でアンテナの表面に2mm厚さの電波吸収体を装荷した。次に,平面波発生用の導波管アレーアンテナの開口面分布の均一化を図るためアンテナ前面に拘束レンズを装荷,調整し,さらにアンテナの周辺部に吸収体を取り付けて,エッジからの散乱の低減した。このコンパクトレンジ環境下で小型の電磁ホーンアンテナおよびパラボラアンテナの放射パターンの特性測定を行ったところ屋外で得られたデータと良く一致し,本コンパクトレンジの有用性が確かめられた。このコンパクトレンジの改善すべき課題として,動作周波数特性の改善があげられる。すなわち,測定周波数の変化に伴うスロットからの波面の傾きの問題がある。これについては,送信用アンテナ全体を回転構造体に取り付け改善を図った。また,分波回路の周波数特性改善については,コーポレート給電回路の採用により広帯域化を目指した。現在,これらの課題を解決すべく設計,製作されたアンテナの総合調整を実行中であり,間もなくその試験運用に入る予定である。
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