研究分担者 |
比江島 慎二 九州大学, 工学部, 助手 (50284526)
三島 徹也 前田建設工業(株), 技術研究所, 主任研究員
阿部 雅人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60272358)
野村 卓史 日本大学, 理工学部, 助教授 (50126281)
藤野 陽三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20111560)
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研究概要 |
両岸に張り渡した2本のケーブルによって防雨用の膜を支持し,ダムの防雨施工を可能とする吊形式膜屋根は,施工位置に応じて膜の高さや位置を容易に変化させることができ,また,施工の邪魔にならない,という特徴をもつ.しかし非常に軽量で柔軟な構造であるために,20m/s程度の風速において,膜全体としての回転変形が大きくなり膜が吹き飛ばされてしまう,ダイバージェンスという現象の発現が問題となる.特に,ダム施工現場において経験される吹き上げてくる風に対しては,さらに低い風速においてダイバージェンスが発現する傾向があるため,こうした吹き上げの風に対しても十分安定な,防雨用吊形式膜屋根の開発を目的として研究を行った. 耐風的に安定な吊膜屋根の開発には,まずその対風挙動のメカニズムを明らかにすることが必要と考えられるが,風洞実験によって吊膜に作用する空気力を測定することは困難なので,吊膜屋根に対する2次元数値流体解析手法の開発を試みた.風の作用により吊膜形状が変化し,それに伴って作用する空気力が変化するため,流体と構造の複雑な連成解析を行う必要がある.吊膜に作用する空気力と吊膜の動的挙動を連成させた場合には,大変形挙動を安定に解析することには未だ成功していない.一方吊膜屋根の耐風安定性を支配するダイバージェンスに関わる静的対風挙動に対しては,膜面の変形とそれにともなって変化する空気力の連成のさせかたを工夫して解析することにより,空気力とつり合った吊膜形状を求めることのできる手法を開発できた.解析により得られる形状および空気力は,既往の実験結果と定性的な傾向は一致した.研究成果については土木学会論文集に投稿すべく,現在準備中である.
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