研究課題/領域番号 |
08555155
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40039136)
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研究分担者 |
松田 弘文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00282690)
淀川 正忠 TDK(株), 基礎材料研究所, 副部長(研究職)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
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キーワード | チタン酸バリウム半導体 / バリスタ / 高容量 / 低電圧型 / PTCR / 厚膜 / 単一粒界 |
研究概要 |
本研究は、(Ba,Sr)TiO_3系半導体セラミックスを基本組成とするノイズ或いは高周波サージ吸収デバイスとしての高容量、低電圧型バリスタの大気中1段焼成という新規製造法に関するもので、これまでに得られた成果を以下に記す。 1.本材料は-60〜+30℃の温度範囲で正の抵抗温度係数(PTCR)を示し、室温で最大抵抗率を示す。PTCR領域での電流-電圧特性の解析から、その非線形指数(バリスタ特性の大きさ)と粒界障壁層高さとの間に線形関係が存在することを見いだした。また、平均粒界の測定から、バリスタ電圧は1粒界当たり約1Vであって、組織の制御により低電圧バリスタの作製が可能であることを示した。 2.筆者らが開発した高濃度ゾルゲル法により作製したドナー添加BaTiO_3超微粉体を用い、1μm以下の粒径で100Ωcm程度の室温抵抗率を持つBaTiO_3半導体セラミックスを、大気中、1100℃の焼成により作製することに初めて成功した。これにより、目的とする粒子組織を持つ厚膜PTCRセラミックスの作製が可能であることが実証された。この成果は、現在国際学術誌に論文として投稿中。 3.高濃度ゾルゲル法によりドナー添加(Ba,Sr)TiO_3超微粉体を作製した。ドクターブレ-ド法により20〜30μmの膜厚を持つグリーンシートを作製し、1300〜1500℃の焼成で室温で最大抵抗率を示す半導体セラミックス厚膜を得た。この厚膜は粒径数μmの粒子から成り、目的とする組織に近いものが得られたが、非線形指数は2〜3と小さく、その改善のためにさらにドナー及びアクセブタ元素添加量の最適化が不可欠であることが分かった。 4.粒界の真の電子物性を解明するために、BaTiO_3半導体単一粒界セラミックス細線の作製を行い、そのPTCR特性を中心とした粒界電子物性の定量的な解析を行った。その結果、PTCR特性の発現機構は従来広く受け入れられてきた、キュリー点以上での誘電率を基本としたものではなく、むしろ自発分極の温度依存性を基本としたモデルで説明できることを明らかにした。
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