研究概要 |
本研究の目的は、ラーベス相NbCr_2の有する強さおよび優れた耐酸化性を利用し、これらを高融点材料(Nb-Cr-VおよびNb-Cr-Mo)固溶体中に均一に分散させ耐摩耗性も具備した強靭で耐酸化性の優れた、分散強化型超耐環境高温構造材料の開発研究を行うことである。その結果以下のことが判明した。 (1)1350℃におけるNb-Cr-VおよびNb-Cr-Mo三元系状態図が作成され、NbCr_2ラーベス相は第3相を伴わず直接BCC固溶体相と平衡していた。Nb-Cr-V3元系では擬ラーベス相NbV_2を形成する濃度に沿ってV元素を固溶し、最大固溶度は26at%であった。一方、Nb-Cr-Mo系ではMo元素は擬MoCr_2を形成する濃度に向かって固溶し、最大固溶度は14at%であった。 (2)V,Mo,TiおよびW元素等のC15ラーベスNbCr_2の相安定性および合金挙動を電子顕微鏡およびX線回折装置を用いて明らかにした。その結果、TiおよびMo元素はNbと、VはCr原子と置換していることが判明した。W元素に関してはNb,Cr双方の元素と置き換わることも判明した。またV元素を除く第3元素添加材のas-cast材中には高温相C36、一部C14相が残存していた。等温保持実験の結果、W,Ti,Mo,Vの順で高温相を安定化すると思われる。 (3)電子顕微鏡観察の結果、V元素を除く第3元素添加材の1350℃で15時間均質化熱処理されたanneal材中には多くの微細な双晶および積層欠陥が観察され、これら第3元素はC15ラーベス相NbCr_2の積層欠陥エネルギーを低下せしめる効果を有すると思われる。
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