研究概要 |
お互い,混じらない水溶性と有機液体の間に電極を設置して電解析出を行うと,界面に沿って花びら状の電析物が成長することが知られている.そして,実験条件を選べば薄膜状の電析物が得られることがある.したがって,この方法を活かせば,これまで知られていない新しい薄膜製造ができる可能性がある. このような観点から,本研究ではこの方法を発展させ,薄膜が成長しやすい実験条件を調査し,金属薄膜および有機薄膜の新しい製造を試み,さらに,機能性薄膜製造法としての二液相界面電析法の確立をめざした.その結果,平成8年度はカソード還元による金属薄膜の製造法について検討し,金薄膜の製造に成功した.この研究過程で電解液中に硫酸銅を添加し金と銅を一旦共析させてから銅を溶解させて金薄膜を製造するのが有効であることを確かめた.平成9年度はアノード酸化による導電性高分子薄膜の製造を試み,ポリピロールの製造に成功した.この方法で界面に沿って一方向成長する薄膜を得ることができ,従来の水溶液中の電解酸化法による結果と比較検討した.また,亜鉛薄膜,ポリピロール薄膜の連続製造法について検討した結果,均質な薄膜成長のためには,電析中の各種実験条件の変化を計測しながら,フィードバック機能を持ったコンピュータ制御で成長過程を制御することが必要であることが分かった.得られた結果から,この薄膜製造法の実用化の有無を総合的に検討し,この方法が発展性のある新しい薄膜製造法であることを明らかにした.
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