研究分担者 |
属 富夫 日東電工(株), メンブレン事業部, 開発センター長(研究
牧 泰輔 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10293987)
黄 慶発 ダイキン工業(株), 化学事業部, 研究職 (30273551)
HWANG Qingfa DANKIN INDUSTRIES,LTD., CHEMICAL DIVISION,Investigator
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研究概要 |
大気圧グロー放電プラズマは低圧グロー放電プラズマより操作性の面で優れている.本年度の目的は,昨年度作製した大気圧グロー放電プラズマ反応器を用いて,高分子の表面処理,プラズマ重合法から高機能性分離膜を調製するところにある.得られた成果は以下の通りである. 1.大気圧グロー放電プラズマを用いた高分子の表面改質によるCO_2分離膜の作製 ポリジメチルシロキサン膜の表面を大気圧プラズマ改質し,膜の構造変化およびCO_2分離性能に対するプラズマ処理条件の影響を検討した.プラズマ処理時間の増加に伴い,低圧プラズマ処理の場合と同様,架橋の形成により,CO_2の透過速度は減少した.また,選択係数は未処理膜より増大し,最大76にも達した.さらに,低圧プラズマ処理に比較して,等プラズマ出力下においては処理速度が大きいなど大気圧プラズマに有利な点もみられた. 2.ヘリウムで希釈モノマーからのプラズマ重合膜の作製 ヘリウムにエチレンガスを混合したガスで大気圧プラズマを発生させ,基膜上に重合膜の製造を試みた.その結果,膜の表面の炭素量が20倍以上も増加し,大気圧プラズマによりエチレンがプラズマ重合し,重合体が堆積することを明らかにした.また,Heプラズマを照射した膜にエチレンに接触させても重合膜が生成することを示した. 3.プラズマグラフト重合法によるイオン交換膜の作製と促進輸送膜への適用 多孔性ポリエチレン膜の膜表面にアクリル酸を塗布し,大気圧プラズマを照射してプラズマグラフト重合をおこない,膜の細孔内にカルボキシル基を有するイオン交換膜を作製することに成功した.これは大気圧プラズマに特有の新しい重合膜製造プロセスである.次に,プラズマグラフト重合法より作製したイオン交換膜からEDAH^+をキャリアーとするCO_2促進輸送膜を調製し,高いCO_2透過・選択性が得られることを示した.
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