研究概要 |
下記の2系列の生分解性ポリマーの開発試験研究を行った。 系列1 ジアンヒドロヘキシトールからの新規ポリエステル 1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトールまたは1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトールと脂肪族ジカルボ酸誘導体(メチレン鎖長2-8,10)およびフランジカルボン酸誘導体との重縮合によりポリエステルを合成した。これらのポリエステルについて、porcin pancreasリパーゼおよびR.delemarリパーゼを用いて酵素分解試験を行い、溶出物の水溶性全有機炭素量(TOC)を測定した結果、結晶性のポリエステル(特に上述のメチレン鎖長が7と10のポリエステル)はR.delemarリパーゼよりporcin pancreasリパーゼを用いた場合の方が明らかに速い分解挙動を示した。土中埋没試験も行い、電子顕微鏡観察により脂肪族ポリエステルでは糸状菌やバクテリアにより、フラン系ポリエステルは放線菌により主に浸食されることを確認した。 系列2 キチン含有ポリマーハイブリッド 部分脱アセチル化キチンに2-メチル-2-オキサゾリンあるいは2-エチル-2-オキサゾリンのリビング重合体を反応させて、対応するキチン/ポリ(2-オキサゾリン)グラフト共重合体を合成した。得られたキチン-graft-ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)またはキチン-graft-ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)とポリビニルアルコール(PVA)との相溶ブレンドフィルムを調製し、土中埋没試験を行った。キチン-graft-ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)/PVAとキチン-graft-ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)/PVAのガラス転移点の組成依存性からGordon-Taylor式のk値を求めたところそれぞれ0.54および0.27であった。異種高分子間の交互作用の弱い後者の方が分解性が速いことが分かった。 上記のポリエステルおよびキチン含有ポリマーハイブリッドについて示差走査熱量測定により熱的性質を、引張試験機により力学強度を詳細に調べた。
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