研究概要 |
ラム加速機に関するスケール則はこれまで確立されていなかった.本研究では,有限速度化学反応流の数値解析を行うことによって推進性能と装置寸法の影響を明らかにし,広い作動範囲で熱閉塞モードの作動を得るためには,装置を小型化することが有効であるとの結論を得て小口径のラム加速機を試作した.作動試験を行った結果,装置を小型化することによって始動がより難しくなることが明らかになったので,始動過程における先行衝撃波の挙動を高速度イメージコンバータ-によって,またプロジェクタイルによる隔膜破断時の流体力学現象をホログラフィー干渉計法で可視化計測した.特に,後者によって,これまで数値シミュレーションで用いられてきた隔膜破断モデルが不適当であったことを実証し,より現実に近いモデルを提案した.以上のような基礎研究を基に,混合気の組成,充填圧力,推進薬量,プロジェクタイルの形状,サボの形状と質量,前段加速管初期圧力などの影響を明らかにして,ラム加速機の作動可能範囲を実験的に調べ,1.2km/sの突入速度に対して370m/sの加速度増分を達成することができ,今後の更なる射出速度の向上に対する見通しが得られた.
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