研究分担者 |
浦山 修 秋田大学, 医学部, 助教授 (90114743)
高田 五郎 秋田大学, 医学部, 教授 (40047254)
田中 俊誠 秋田大学, 医学部, 教授 (40002216)
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
富田 靖 名古屋大学, 医学部, 教授 (70108512)
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研究概要 |
単鎖DNAIに対する抗体産生は、1964年にPlescia等が熱変性DNAとメチル化BSAとの複合体を用い、ウサギを免疫することにより初めて成功し、その後、モノクローン抗体の産生を含め多くの研究者により報告されている。しかしPlescia等の方法で産生された抗体はIgM型が主でしかも力価が低く、実用的なIgG型の抗体の産生には至っていない。またこの抗体特異性についての詳細な解析も未だ不十分であった。 従来本抗体の調製は困難であったが、アルカリ変性DNAを免疫原に用いることで高力価のIgG抗体の調製に成功した。また本抗体によるアポトーシス細胞検出を分子レベルで証明するため、サンドイッチELISA法を用い、種々の核酸との反応性を比較検討した結果、単鎖DNAを特異的に認識することを明らかにした。また単鎖DNAの抗原決定基のサイズを解析するため、鎖長の異なる単鎖部位を3′末端に有する合成二本鎖DNAを用い、本抗体との結合をゲルシフトアッセイにより検討した結果、単鎖鎖長6以上のDNAS反応することが判明した。更に、アポトーシス細胞に特徴的なエンドヌクレアーゼの作用により形成されるオリゴヌクレオソームおよびそれから抽出して得たDNAラダーをWesternブロット法を用いて検出することが出来た。以上の結果より本抗体がアポトーシス細胞を簡便に検出するプローブとして有用であることが証明された。 そこで,正常なラットおよびヒトの小腸上皮,胸腺,肺,肝臓,皮膚の組織において,本抗体を用いることによって,アポトーシス細胞を検出することができた。さらに,癌化過程や癌化後の増殖とアポトーシスがいかに関係しているかを明らかにすることができた。今後,臨床的には,治療中のアポトーシスの消長を観察することによりその治療効果を判定することも可能になる。
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