研究課題/領域番号 |
08557041
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
的崎 尚 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (80252782)
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研究分担者 |
中島 元夫 ノバルティスファーマー(株), 宝塚研究所, 部長
北川 元二 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (80262898)
竹山 宣典 (竹山 宜典) 神戸大学, 医学部, 助手 (70263374)
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 助教授 (50189669)
青山 伸郎 (青山 信郎) 神戸大学, 医学部, 助手 (30243299)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1997年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | テロシンホスファターゼ / SAP-1 / 消化器癌 / 抗体 / 阻害剤 / チロシンガスファターゼ / チロシンホスファターゼ / モノクローナル抗体 / CEA / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
従来より、チロシンキナーゼや、それにより活性化されるRasをはじめとする細胞内情報伝達系の異常が、発癌過程に重要な役割を果たしていることが示唆されている。一方、最近になり、リン酸化チロシン基を特異的に脱リン酸化するチロシンホスファターゼ(PTPase)がチロシンキナーゼ系を介した生理的応答や発癌過程に重要な調節的役割を果たしていることが明かにされつつある。私達は、ヒト胃癌細胞KATO-IIIに発現するPTPaseを検索した結果、新規のPTPase、SAP-1を同定、遺伝子クローニングした。SAP-1は、細胞外ドメインとして、糖鎖に富むフィブロネクチン様構造を有している。興味深いことに、SAP-1は、正常大腸粘膜には、ほとんど認めなかったが、多くの大腸癌細胞株に過剰発現を認めている。そこで、本研究においては、SAP-1のさらなる生理機能の探究、及びSAP-1の消化器癌における診断、治療上の臨床応用を目指している。(1)SAP-1を培養細胞に過剰発現した際には、細胞増殖の抑制が認められた。さらに、PTPase活性を喪失した変異型SAP-1とEGF受容体の結合が観察されたことから、SAP-1は、EGFを介したシグナル伝達経路に影響を及ぼす可能性が示唆され、現在これをさらに解析中である。(2)SAP-1遺伝子5上流域1.7Kbをクローニングし解析した。幾つかの転写因子結合配列を見い出したが、大腸癌において特有の異常を現在までは検出していない。(3)SAP-1のモノクローナル抗体の作成に成功した。これを用い、またポリクローナル抗体を用いた免疫組織染色を大腸腺腫、大腸癌組織において行った結果、約40%の大腸癌症例においてSAP-1の過剰発現を観察した。一方、大腸腺腫においては、SAP-1の過剰発現は認められず、K-ras、p53遺伝子の変異の比較検討から、SAP-1の過剰発現は大腸癌の多段階発癌過程の後期に生じるのではないかと結論した。現在、このモノクローナル抗体をもちいた測定系により、大腸癌、膵癌患者血中のSAP-1測定を行いつつある。
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