研究概要 |
1,動脈管開存症の3次元モデルの作成 剖検心の中から動脈管開存症を合併するもの30例を抽出し,バリウムを混入したシリコンラバーを用いてその形態,大きさの分析をおこない,最小部径2mm,3mm,5mmの3つの典型的動脈管開存症の立体モデルを作成した.このモデルを利用して,新しい閉鎖システムの開発と有効性の評価を行なった. 2,新しい閉鎖システムの開発 上記研究と平行してシステムの素材となる金属の選択および形成をおこなった.コイルを構成するステンレスワイヤーの太さや巻数を変化させ,コイルの変形力,耐久性,柔軟性などの評価をおこなった.これによって0.035インチのコイルよりも0.038インチのコイルの方が形状復元力が強く,またこれ以上太いコイルになると柔軟性が極度に低下することが明らかになった.さらに最小部径3.0mm以上の動脈管では2個以上のコイルを同時に留置することによって,より高い完全閉鎖率が得られることが明かとなった.このため小さな動脈管にも2個のコイルを留置できるような極細径のカテーテルを作成し,このカテーテルを用いたsimultaneous doubleコイルテクニックを開発した.これによって今までコイル治療では難しいとされていた中等度以上の動脈管開存症でもコイルによるカテーテル治療が可能であることが証明された. 3,コイルによる閉塞メカニズムの評価 実際にコイル閉鎖術を受けた患者でコイル閉鎖術直後と約6カ月〜1年後に血管内エコーを用いて,コイル周囲の血管内皮増殖形態を観察した.これによって,コイル留置後6カ月以内に血管内皮の新生がおこり,血管として良好な修復が行なわれていることが証明された.
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