研究概要 |
インヒビンには分子多様性がみられ、ヒトの血中には活性型のdimerの他、非活性のmonomerが存在する。また、構造類似性の高いアクチビンや、インヒビンとの結合能を有するフォリスタチンやα_2マクログロブリンなどの存在がアッセイに影響を与えることが知られている。私達はヒトのインヒビンの分子種に特異的で高感度のアッセイ法を開発しキット化により臨床応用を可能にする目的で本研究を行った。まず、ヒトのインヒビンを卵胞液より精製し、アッセイのキット化に必要なインヒビンスタンダードの大量精製法をアッセイスタンダードとしての使用が可能であることを明らかとした(Hasegawa et al.Reprod Derelop 42:23-25,1996. Inhibin and Activinpp139-154,1996. Hasegawa et al.J Sexual Differentiation and Maturation pp139-154,1996)。次に、種々の抗体を作成するとともに、抗体の標識法について検討し、inhibinBについてはより高力価の新たな抗体の作成も含めて現在検討中である。InhibinAについては、抗α鎖ポリクローナル抗体を固相に用い、抗βAモノクローナル後退を^<125>Iで標識したradioimmunometric assay(In hibin A IRMA)によりnative inhibin Aの測定を可能とした(Hasegawa et al. Inhibin,Activin,and Follistatin,pp104-117,1997)。InhibinA IRMAを用いて正常妊娠時のnative inhibinAの変動を明らかとし、妊娠中毒症や子宮内胎児発育遅延では異常高値となることを報告した(Mizunuma et al Inhibin,Activin,and Follistatin pp151-161,1997)。このInhibin A IRMAの感度は非妊婦のinhibin Aの測定には不十分であったため、更なる感度の改善を検討した。この結果、ポリクローナル抗体をインヒビン結合カラムとアクチビン結合カラムを用いて精製することにより得た抗α鎖抗体と抗βA鎖抗体を用いて、抗βA鎖抗体を固相とし抗α鎖抗体をユーロピウムで標識したimmunafluormonetric assay(Ingibin A IFMA)を確立した。月経周期におけるnative inhibin Aの測定が可能な感度を得て、現在、このアッセイ法を用いて種々の生理的、病的状態におけるnative inhibin Aについて精査中である。
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