研究課題/領域番号 |
08557096
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
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研究分担者 |
滝田 裕子 北海道大学, 歯学部, 教務職員 (30125330)
藤沢 隆一 北海道大学, 歯学部, 助手 (40190029)
水野 守道 北海道大学, 歯学部, 助手 (10125354)
大畑 昇 北海道大学, 歯学部, 教授 (60002185)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | 人工歯根 / セメント質 / 歯根膜 / BMP(骨形成タンパク質) / 細胞支持体 / 再植 |
研究概要 |
欠損歯修復法の一つに骨癒着型の人工歯根(通称歯科インプラント)が広く用いられているが、このシステムは、必須の緩衝装置である歯根膜を欠くため早晩、歯槽骨を損傷し、多くは数年で脱落あるいは機能不調に陥る。そこで我々は、この点を根本的に改善するため自然の歯根膜とセメント質を再生する原理と技術を確立し、さらに歯根膜とセメント質付きの人工歯根を創製することにした。 我々はこれまでに、骨形成サイトカインである骨形成蛋白質(BMP)の抽出方法を確立し、強力な活性BMP(BMPカクテル)を大量に準備した。次に我々が開発検討した8種類以上の細胞支持体が、それぞれ、独自の組織誘導のパターンを示すことに注目し、BMPによる組織誘導の担体依存性を見いだした。この結果に基づいて、BMPは骨・軟骨のみならず、歯根膜とセメント質も担体の工夫によって誘導できると予想し、それをネコの犬歯歯槽骨において部分的に証明することができた。即ち、BMPとコラーゲン線維膜(FCM,fibrous collagen membrane)との複合体を組織工学的素材として用いることで歯根膜とセメント質を再生できた。そこで次に、ビ-グル犬の歯を抜去し、再植する時に歯根膜を、ベルト状(Belt type defect)と、根尖側2分の1(Apical-half type defect)という2種の規格にしたがって部分削除し、その欠損部にBMP複合コラーゲン線維膜を巻き付けて再植し、歯根膜とセメント質を再生する実験系を開発した。その結果、6週目のapical half 型組織学的所見では、残存部と欠損部の境界から有細胞セメント質と歯根膜が再生するのが確認された。しかし、根尖部に近づくにしたがって、歯根膜形成よりも骨癒着(Ankylosis)が多くなった。これに対し、belt-typeでは良好な歯根膜とセメント質の再生が見られた。新生セメント質は、切除された象牙質の表面に僅かに露出したコラーゲン線維を足場にして、先ず線維性の層状組織をつくり、次第に石灰化してセメント質を作る。この線維性組織層中のコラーゲン線維が、連続して層外に延び出し、大略、垂直性に走行し歯槽骨にまで達している。今後、担体としてのコラーゲン線維膜の幾何学的構造を改善することによりさらに広範囲の歯根膜とセメント質が再生できる見込みである。
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