研究課題/領域番号 |
08557106
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松田 浩一 北海道医療大学, 歯学部・歯科保存学第II講座, 教授 (20109458)
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研究分担者 |
飯塚 恵文 日本橋徳力, 技術部, 室長(研究職)
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部・歯科理工学講座, 助教授 (70168821)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 金銀パラジウム合金 / 不動態 / 耐食性 / 耐変色性 / 金属アレルギー / 原子吸光法 / Pd合金 / 動電位分極法 / 鋳造性 / アノード分極曲線 / 色差 |
研究概要 |
歯科鋳造用金銀パラジウム合金は、補綴および保存領域において最も使用頻度の高い合金であるが、口腔内で合金表面に硫化物を生成し腐食・変色することがある。そこで本研究では、口腔内で硫化変色しない合金の開発を目的として、市販の金銀パラジウム合金よりもPd含有量を増加したAg-45Pd-18Cu-12Au合金を溶製し、その耐食性および耐変色性を0.1%Na_2S溶液中で動電位分極法および分光測色法を用いて調べた。また、塩化物溶液中における金属イオンの溶出量をグラファイト炉原子吸光法によって定量した。X線光電子分光法を用いた表面分析を行い、Pdが本合金の耐食性を向上させる機構を詳細に検討した。 Ag-45Pd-18Cu-12Au合金の常温における安定相は、Pd-rich固溶体単相であった。鋳造状態において見られた偏析は、耐食性に多きな影響を及ぼさなかった。0.1% Na_2S溶液中では、市販の金銀パラジウム合金はAg-rich相が選択的に腐食し、硫化銀(Ag_2S)の生成反応とともなって変色するのに対して、Ag-45Pd-18Cu-12Au合金は、実用上ほとんど腐食・変色しなかった。硫化物溶液中でAg-45Pd-18Cu-12Au合金表面には、Pd-richな硫化物皮膜(1nm以下)が生成していた。この皮膜は緻密で保護性が高いために、合金は安定に不動態化し高い耐食性を示すことが明らかとなった。Ag-45Pd-18Cu-l2Au合金から溶出するAg、Cu、およびPdイオン量は、市販の金銀パラジウム合金と比較すると顕著に減少しており、金属アレルギー発症の観点からも、Ag-45Pd-18Cu-12Au合金は優れているものと考えられる。Gaの微量添加は、Ag-45Pd-18Cu-12Au合金の融点を低下させ、鋳造性を向上させるのに有効であった。 以上の結果から、Gaを1〜5%添加したAg-45Pd-(18-X)Cu-l2Au合金は、極めて耐食性が高く操作性も良いため、歯科鋳造用合金として優れていることが明らかとなった。
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