配分額 *注記 |
16,400千円 (直接経費: 16,400千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1996年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
Insulin receptor-related receptor(IRR)はインスリン受容体ファミリーに属する新しい受容体であるが,その生理的役割とその内在性リガンドは不明であった。申請者らはIRRがTrk Aとともに,前脳基底野のコリン作動性ニューロンに特異的に発現していることを明らかにした。従って,IRRの内在性リガンドは,NGFとともに,前脳基底野のコリン作動性ニューロンに対する神経栄養因子として作用していると期待される。申請者らはIRRのリガンド探索のために,IRRのリガンド結合能を指標にした新規リガンド探索法を確立を試みた。申請者らはIRRの細胞外ドメインをコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築し,昆虫細胞で組換え細胞外タンパク質の調製に成功した。さらに,この組換え細胞外タンパク質とBIAcoreを用いた,リガンド探索法を確立し,各種ラット臓器抽出液におけるリガンド活性を探索した。その結果,膵臓に最も高いリガンド活性が検出された。さらに,細胞抽出液をカラムクラマトグラフィにより分画し,IRRリガンド活性は分子量約4,000のタンパク質であることを明らかにした。これらの成果は,IRRリガンドの実体とその生物活性の解明に有用なものとなった。 一方,FGFは単に,線維芽細胞増殖因子としてだけではなく,多様な生物活性を持つ多機能性因子として知られている。特に,脳内にも発現し,神経栄養因子として作用していることが明らかにされている。申請者らは新規な神経栄養因子を探索する目的で,IRRと同様に,FGF受容体のリガンド結合能指標にした探索法とFGFの構造上の類似性を指標にした探索法により,新規FGFの探索を試みた。その結果,3種類の新規FGF,FGF-17,FGF-18,FHF-4を発見した。さらに,申請者らはこれらのFGFは発達期の脳の神経細胞で発現し,神経細胞に対し神経栄養作用を示すことを明らかにした。
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