研究課題/領域番号 |
08557150
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤水 尚史 京都大学, 医学研究科, 助手 (20231813)
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研究分担者 |
神田 秀俊 栄研科学株式会社, 免疫センター, 研究員
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (50212220)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 免疫グロブリン遺伝子 / TSHレセプター / 抗TSHレセプター抗体 / バセドウ病 / リコンビナント抗体 |
研究概要 |
バセドウ病や機能低下症の一部では抗TSH受容体抗体が発症や病態形成に直接的に関与することが知られており、このような研究は同病における抗TSH受容抗体の意義を分子レベルで研究する上で極めて重要である。また、抗TSH受容体抗体アツセイは、臨床的にもバセドウ病や甲状腺機能低下症の診断・臨床経過の観察・治療の指標に広く用いられており、極めて有益である。その際、同抗体を用いた研究や検査には大量の患者血清が必要な場合があり、病原性を有した同モノクローナル抗体の作製が期待されている。しかしながら、ヒト・モノクローナル抗体をハイブリドーマ法で作製するには優れた骨髄腫細胞がないため困難であり、EBウイルス法では大量の抗体を永久的に産生することは不可能である。我々は、これまでにバセドウ病及び原発性甲状腺機能低下症患者リンパ球から直接、EBウイルスを用いて多数のモノクローナル抗TSHレセプター抗体(IgG型を含む)産生リンパ球をクローニングし、同リンパ球から免疫グロブリン遺伝子を単離してきた。 今回、Site-directed mutagenesisによって作製された種々の変異TSH受容体に対する同モノクローナル抗体(B6B7,101-2)の反応性を検討することにより、TSH受容体抗体結合エピトープの同定を行つた。また、モノクローナル抗体を^<125>Iで標識し、TSH受容体を大量に発現した細胞への結合を検討することによって、抗体結合親和性を求めた。両抗体の生物学的活性は共に、細胞外領域のN端を変異させたTSH受容体において低下したが、C端を変異させた同受容体では変化しなかった。TSHはN端を変異させたTSH受容体においても活性をほぼ保っていた。101-2とB6B7の受容体への結合係数はそれぞれ1.3x10^<-8>と1.3x10^<-7>であつた。その結合はお互いの抗体またはTSHによって阻害されなかつた。以上より、2つのリコンビナント・モノクローナル抗TSH受容体抗体は、互いにmicroheterogeneityを示しつつも、共にTSHと異なる受容体部位を認識してその生物学的活性を示すものと考えられた。 また、リコンビナント抗体産生骨髄腫細胞を同系マウスの腹腔内に投与し、in vivo活性を検討した。バセドウ病患者リンパ球から得られたリコンビナント抗体B6B7を人工的に産生する骨髄腫細胞を同系マウスの腹腔内に投与したところ、血中human IgG濃度約20mg/mlで有意の血中T4の上昇とTSHの下降を認めた。また、同様なモノクローナル抗体である101-2においても、同程度の血中human IgG濃度で有意の血中T4の上昇を認めた(TSHに関しては検討中)。さらに、原発性甲状腺機能低下症患者リンパ球から単離されたリコンビナントモノクローナル抗体32-5産生の骨髄腫細胞を作製し、マウスの腹腔内に投与したところ、有意の血中TSHの下降を認めた。以上の結果は、同抗体のin vivo活性を強く示唆している。
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