研究概要 |
本研究の最終目標は,人工物の設計,部品生産,組立,意匠設計,組立からなる設計生産工程を,実物ではなく仮想人工物を用いて一元管理し,製品設計がどの段階にあっても,上記行程に関わる全て技術者やデザイナーが設計変更に参画できるようにすることである.この過程において,技術者は専用の計算機言語を用いた記述を介して人工物へ操作を加えることが可能であるが,デザイナーは審美的な観点からデザイン画や模型を用いて意匠変更することが多く,関与者の中では異なった感性と記述能力を持っており,デザイナーのアイデアを反映することが困難である.そこでデザイナーの意志を仮想物体の設計・変更過程に反映させるシステムが必要である.この目的を達成するため,仮想人工物に対して,手と言葉を用いた意匠設計システムを試作した.意匠変更部位に対して手と言葉で操作変更を指示するだけでシステムの提案する設計案から最適なものを選択できるようにした.設計変更では,部品追加に加えて,切断作業も必要となる.しかし,自由な切断を実時間で支援する仮想現実感作成支援システムがないため,試作を行った. 仮想物体をHMDで見ながら,データーグローブで操作部分を指定する必要があるため,システムとの対話は音声言語で行わなくてはならない.そこで,言語情報と非言語情報が並行して入力可能な仕組みを仮想現実感システムに組み入れることにした. 一方,設計関与者の勤務場所は一般には異なっており,関係者全員が設計対象物を囲んで設計変更を検討する機会を持つことはほとんど不可能である.このため,迅速に全員を納得させる設計案を得ることは困難である.これを支援するため,サーバー・クライアントシステムを用いて,仮想環境を共有する枠組みを試作した しかしながら,上記の各システムの全てを意匠設計システムに組み込むのは時間的に困難であり,それぞれ個別のシステムとして実現するに止まっている.製品記述のグローバル化を促進する,記述のSTEPは未着手に終わった.
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