研究概要 |
バイオエレクトロ法を用いた簡便かつ高効率に硝酸イオン汚染水の脱窒を行う新たな処理プロセスの開発を目的として,電極材料および処理の高速化・高効率化に関わる電極構造・配置等装置様式に重点をおいて検討を行った.また,自然エネルギーの作動エネルギーとしての利用可能性について検討を行った. 1.炭素質材料を陽極として用いると,脱窒反応の進行に好ましい環境が維持できる.通電に伴い陽極からTOC成分が若干溶出するが,それは主に通電初期段階である.炭素材料の製法および形状によりその特性は大きく異なり,比較的密度の高い材料ほどその生成は少なかった. 2.処理速度の高速化に関わる装置形態として陰極に回転円板を用いた回転塩案電極型処理装置を試作した.槽内液混合は,円板回転方向には影響を受けず,回転速度,電極間隔および流路断面積に大きな影響を受けた.本装置では,長期に安定した脱窒処理が可能であった.通電とともに,少量の有機物水素供与体の添加により脱窒速度は向上し,残留有機物のない高速処理が可能であった. 3.槽内陰極面積増大に関わる電極材および装置形状に関し,炭素繊維マトリクス材を電極として用いた処理装置を試作した.炭素繊維マトリクス材は,通常の炭素材と同程度以上の水素生成効率を有するとともに,大きな比表面積を利用した安定した脱窒処理を行うことが可能であった. 4.本反応系に対する反応モデルを構築し,総括反応速度解析を行った.計算結果は実測データにほぼ一致してモデルの妥当性が示されるとともに,高速化および最適操作に関わる影響因子を理論的に推定できた. 5.現状の処理速度および装置規模であれば必要となる電力を得るための太陽電池セル面積は,処理槽と同等規模となり,充分に利用可能であるが,さらに高速化およびコンパクト化した場合には,セル面積が大きくなり必ずしも全体のコンパクト化にはならないことが示唆された.
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