研究課題/領域番号 |
08558063
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鈴木 路子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50092466)
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研究分担者 |
相沢 益男 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (00016742)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1996年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / 抗菌性試験 / 環境浄化作用 / 改質羊毛繊維 |
研究概要 |
親水性の基質cortexの表層を疎水性のexo/epi-cuticleで覆われた複雑な構造をした羊毛繊維は、外界の風雨、寒冷・暑熱、病原菌等、外界からの刺激に対する優れた「生体防御機能」を有する。この羊毛繊維のexo/epi-cuticle層の一部exoを剥離すると吸湿性、抗菌性等の機能が発現する。これを応用して改質羊毛繊維の製品化が行われるに至り(北條ら)、各種生活環境の改善を可能にした。 この改質羊毛繊維素材を用いた本研究は、院内感染等で問題になっている薬剤耐性菌MRSAをはじめ各種病原細菌と白せん菌、ケトミウムなど真菌も加え、菌数測定法、ハロ-法等を用いた抗菌性テストを行う(鈴木・物部)と共にその発現機序を明らかにするために、電顕を用いた繊維表層部に付着した微生物の様相を視覚化した(相沢、春山・物部)。次いで、epi-cuticleをすべて溶解し、cortexのみにすると抗菌性の発現が見られないこと、緩衝液で繊維表層をアルカリ化した場合も同様であることを明らかにした(相沢、春山・物部)。こうした羊の内部環境を保つために働く外部環境の物理化学的諸因子の変動に対する羊毛の本来有する調節機序こそは、自然界に於ける生命体が、生体内外の接点としての生体膜の免疫学的機序と外界との温熱収支を含む物理化学的調節機構として持っているものであり、「長い進化の過程で獲得された適応機序」の発現した諸機能であろうことが理解される。MRSAはじめ各種病原微生物への抗菌性の発現、寒冷暑熱など温湿度の調整、吸湿時のエネルギー発現、NOx、SOx等の空気中汚染物質の吸着・分解などの諸機能も含めて、これからの人類の生活生存と環境保全対策に寄与するであろう天然素材の有効性を実証するための貴重な実験結果を提示した。
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