配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1997年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1996年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
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研究概要 |
本研究の目的は.循環中枢の神経制御機能を規範モデルとした人工心臓の学習・適応制御システムを構築することにより,構造やパラメータの多くが未知あるいは時間的に変動するという生体循環系の持つ特性を考慮した人工循環制御を行うことである. まず,末梢血管抵抗を媒介として自律神経系情報を反映することが可能な完全置換型人工心臓制御アルゴリズムに基づく末梢血管抵抗依存型適応制御系を適用した動物実験システムを構築した.つぎに,ほとんどの循環量を人工心臓が維持し,自然心臓は自己の拍動を保つ程度の循環量だけを担うハイブリッド型人工心臓装着山羊を対象とし,その心拍数を推定するモデルを同定した.本システムから得られたデータに基づき,末梢血管抵抗値に含まれる情報である大動脈圧あるいは右心房圧を入力とし,心拍数を出力とするARXモデルを用いて同定した結果,心拍数を推定するには,大動脈圧と右心房圧の情報が同程度に重要であることが明らかとなった.このことにより,先に構築した末梢血管抵抗を利用した人工心臓制御アルゴリズムが十分妥当であることが示された.さらに,定常流型ポンプを用いた模擬循環系において,末梢血管抵抗依存型適応制御系による完全置換型人工心臓の制御実験を行った.その結果,提案した制御方式は定常流型人工心臓に対しても適用可能であるばかりでなく,拍動型に比較して制御性能・計測数・アルゴリズムの簡便さについて優れていることが明らかとなった.また,本研究では,体内埋込み型人工心臓の制御系の実現に必須である経皮的エネルギー・情報伝送システム構築のための基礎研究も合わせて行った. 本研究で将来に残された課題は,a)提案方式に基づく制御系の動物実験よるさらなる評価,b)臨床応用を前提としたシステム設計,およびc)電磁駆動型人工心臓に対する提案方式の適用,等である.
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