研究課題/領域番号 |
08558098
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 一清 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10023483)
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研究分担者 |
碓氷 泰市 静岡大学, 農学部, 教授 (50111802)
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
NISHIDA Yoshihiro Nagoya University, Graduate School of Engineering, Associate Professor (80183896)
MATSUURA Kazunori Nagoya University, Graduate School of Engineering, Assistant Professor (60283389)
YURA Hirofumi Nehtech, Co.ltd, Senior Research Scientist
後藤 光昭 (株)ネーテック, 技術部長兼主任研究員
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | 人工複合糖質材料 / 細胞標的制御システム / 生体機能材料 / 糖鎖工学 / Influenza Virus |
研究概要 |
シアリルラクトースはインフルエンザウィルスの糖タンパク質(ヘマグルチニン)と結合することが知られている。 牛乳から単離精製されたシアリルラクトースを出発原料に用いて人工複合糖質高分子を合成した。得られたシアリルラクトース結合ポリマーがインフルエンザウィルスの感染を強く阻害することを見いだした。 [分子設計]シアリルラクトースは、(2-3)異性体と(2-6)異性体の混合物(モル比は約6.5:1)をそのまま原料として用いた。シアリルラクトースの還元性末端のアミノ化および得られたアミン誘導体とp-ビニルベンゾイルクロリドとのアミド形成により、シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体を合成した(収率88%)。レドックス開始剤を用いたラジカル重合により、単独重合体およびアクリルアミドとの共重合体を合成した。簡便な合成経路を経ることで、シアリルラクトースから収率良く重合体を得た。 [機能発現]A型インフルエンザウィルス(PR/8/34)を用いた赤血球凝集阻止試験を行った。PR/8/34はシアル酸とガラクトースが2-3結合したシアル酸を強く認識することで知られている。その結果、糖のみに比ベモノマーでは約100倍、重合体では約1000倍強い阻止活性が確認された。単独重合体より糖含量のかなり少ない共重合体であってもウィルスと赤血球の凝集を十分に阻害できた。スチレン型モノマーとなるだけでも阻止活性を示すことや、糖含量が少なくても重合体であるという立体的な要因から、赤血球とウィルスとの結合を間接的に阻害すると考えた。 MDCK細胞(Madine-Darby Canine Kidney Cell)に感染するA型インフルエンザウィルスについてポリマーの感染中和活性を調べた。インフルエンザウィルスを阻害することで知られるウシ胎児中の天然糖タンパク質fetuinを比較に用いたところ、単独重合体がA型インフルエンザウィルスの感染をfetuinよりも約1000倍強く阻害することが明らかになった。それに対し、共重合体では10倍程度しか中和活性を示さなかった。MDCA細胞を用いた実験は、赤血球凝集阻止と異なりウィルスとポリマーの直接的な結合の強さが関係していると考えられる。
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