研究課題/領域番号 |
08610051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
永原 惠三 (永原 恵三) お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (70237551)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ツーリズム / 文化財 / 本物性 / 花輪ばやし / 大湯大太鼓 / 江差追分 / オホーツク音楽祭in紋別 / パフォーミング・アーツ / 音楽文化 / 音楽の場 / ホール / ツーリスト・アトラクション / ツ-リスト・アトラクション / 音楽祭 / 伝統芸能 / オ-センティシティ |
研究概要 |
この研究は、有形・無形の文化財および音楽祭をめぐって形成される地域の音楽文化に対して、ツーリズムがどのように地域文化の方向性に関与し影響するのか、という問題に対し、具体的な事例をもとに、理論的検討を行ったものである。この研究における主たる調査対象は、次の通りである。 (1) 秋田県鹿角市:大湯大太鼓、花輪ばやし(以上県指定重要無形民俗文化財)、大湯環状列石(国指定特別史跡) (2) 北海道江差町:江差追分(道指定無形民俗文化財)、江差町郷土資料室、旧檜山爾志郡役所(道捨定文化財) (3) 北海道紋別市:オホーツク音楽祭in紋別、紋別市立郷土博物館など 以上の事例研究および、D. マッカーネルの理論的研究から、次のような結論を得た。 すなわち、文化財および音楽祭はツーリズムというコンテクストのなかで地域文化の核となりながら、ツーリストの担っている近代文化と対峙する地域文化とによる相互関係の弁証法的な関係性を導くこと。それは、近代文化という、都市に代表される普遍性の世界と、地域文化という固有性の世界との動的な関係性でもあり、そのなかで、地域はひとつの共同体としての本来的意味を問い直す可能性をもつこと、である。これらの地域文化は音楽文化としての広義の伝承行為としてたえず創造性を孕み、単に「過去」を反復するのでなく、常に「現在」の表象でありかつ「未来」へ開かれているのである。 ツーリストは本物を求めて各地をめぐり、集団として地域の人々に接するのに対して、地域で伝承を行う人々は、日々個々人として生活を営んでいる。観光は、大きな制度のなかで営まれる行為だが、実は個々の地域の人々と、ツーリストという集団性を担った人々との出会いの様相である。地域の人々が担う生活にある「本物性」と、観光客の求める「本物性」との間には、共通性と相違性が生じる。「本物性」への関心は、「現在」の音楽文化表象としての無形文化財に一層強くその変化の様相を見せている。
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