研究目的:本研究は、東亜大学が将来建設する多目的実習棟(地下2階、地上14階)の地下1階、1階、2階の壁画制作を想定し、そのプランニングプロセスについて論述したものである。 研究結果:調査は国内外のいくつかの大学のキャンパスマップを概観し、実地調査を行い、また歴史的遺産の見直しも行い、本計画案の裏付けを行った。最終的に模型を制作し参考資料を整理、プレゼンテーションを行った。 結果概要:多目的実習棟が位置する場所は、市行政の「下関駅前文化情報プラザ構想」の整備地区にあたり、ショッピングモ-ルを始めとして多くの文化、交流施設の集まる所である。大学・大学院の教育施設としての情報発信の中枢たるに相応しい環境とはいかなるものかを模索した結果、以下のように造形表現として提案した。 1.地下1階壁画では、世界の名所、遺跡、文字を立体レリーフ的に表現する。 2.1階壁画では、日本の県花、県木、県鳥を具象表現する。 3.2階壁画では、山口県の歴史、文化、産業を具象表現する。 各フロアのデザインは建築物全体の設置の目的、背景、用途・機能に関わるものである。壁画のテーマは世界の文化史を体系的に具象表現することである。テーマに基づいた造形表現が建物の機能を分担し全体イメージを助長するものでなくてはならない。 全体イメージは、大学院の教育理念である「理性と感性の融合による研究文化」「哲学・科学・技術・芸術にわたる博士(学術)の授与」「人の自由移動時代にふさわしい教育」に象徴される。本研究では、理念の視覚化を実際の条件の中で遂行する過程を通して、その成果を提示した。
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