研究課題/領域番号 |
08610107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
藤崎 眞知代 群馬大学, 教育学部, 助教授 (90156852)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | コンピテンス / 自己評価 / 他者評価 / 横断的検討 / 縦断的検討 / 正確さ / 自画像 / 行動特徴 |
研究概要 |
横断的検討から以下の4点が明らかとなった。(1)コンピテンスの各領域と自己価値としてのイメージ間の相互関連は、年少では少なく、年中・年長になるにつれて相互関連が多くなり、自己の捉えの内的一貫性が高まり、幼児なりの正確さが増していくこ、(2)各児の日常保育場面における行動について、エピソードに分類し、各エピソード毎に行動面に現れているコンピテンスの様態を把握した結果、年少児では保育者との関わりはコンピテンスの自己評価が低いこと、年中男児では仲間との交渉が多い子は仲間のコンピテンスが高いのに対して、年中女児では自己イメージが低いこと、年中男児では仲間や保育者との交渉が多い子は仲間のコンピテンスの自己評価が高く、年長女児では自画自賛が多い子は仲間から受容されていないこと、(3)コンピテンスの自己評価が一貫して高い子と低い子について日常保育場面における行動特徴を比較すると、前者は仲間とも交渉しながら自分の活動に集中しじっくり取り組んでいるのに対して、後者は集団での遊びに加わっているものの、仲間の指示に従うことが多いなど自己実現できていない、といった行動特徴の違いが見られること、(4)コンピテンスの自他評価とのズレ(自己・教師評価)と自画像の大きさとの関連を見ると、学習面でのコンピテンスの高い年中・年長児はズレが大きい子ほど自画像が大きいこと、逆に人との関係のコンピテンスが低い年中・年長児ではズレが大きいほど自画像が小さい傾向が示された。 縦断的検討からは以下の4点が明らかとなった。(1)幼児期から児童期までのコンピテンスの自己評価の発達的変化を見ると、就学、低学年から中学年にかけて低下し、そうした傾向は各領域の重要性評価が現実の自己評価を上回っていくことに一部起因すること、(2)自己評価と他者評価の発達的変化を比較すると、自己評価の発達的変化は保育者・教師評価の発達的変化と類似していること、(3)学校での休み時間や給食時の行動観察から、児童のコンピテンスの行動特徴を分析する枠組みを検討し、行動面からコンピテンスの様態を測定する質問紙が作成されたこと、(4)幼児期のコンピテンスの自己評価から児童期の自己評価に対する予測性を検討した結果、幼児期における人からの受容感は児童期の学校のコンピテンスや自己イメージを予測すること、などが明らかにされた。 したがって、保育者評価との類似性、自画像の大きさや日常行動との関連性、自己評価からの予測性などから、幼児期から児童期にかけてのコンピテンスの自己評価に関して一定程度の正確さが確認された。
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