研究概要 |
研究目的は,環境ボランティアのネットワーキング・プロセスを分析し,あわせてネットワークの機能を解明することであった.主な研究成果は以下のとおりである. 1. 環境ボランティアによる普及プロセスとの比較研究として,行政主導によって資源リサイクルを導入した碧南市の事例を取り上げ,リサイクル制度にたいする住民評価についての調査を実施したところ,住民は,制度導入前の行政による説明会での情報にもとづいて,制度に伴う共益に関する態度を形成し,導入後のコミットメントによって制度に伴う私益の側面の態度を変容するという調査結果が得られた. 2. 環境保全の多様な活動を全国的なネットワークを通じておこなっているエコリーグをとりあげ,その団体メンバーに対する調査を実施した.エコリーグの活動を継続しようとする意図を規定する主要な要因は,ネットワークへの連帯感(帰属意識)であり,活動に伴う負担やコストは活動への継続意図とは関連が低いことが明らかとなった. 3. 環境ボランティアが地域で資源リサイクルを普及するためにとったネットワーキングの効果を検討するための調査を実施した.ボランティアによるネットワークを通じての対人的な働きかけが,地域住民がリサイクルに参加するときの主要な規定因であることが明らかになった.さらに,マスメディアや行政による広報メディアが環境やごみ問題についての情報提供によって地域住民の環境についての認知に影響をおよぼすのにたいし,ボランティアによるパーソナルなメディアはひとびとの資源リサイクルの行動意図に直接影響する機能をもつことも明らかとなった.
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