研究概要 |
本研究は、平成8年に調査の内容、調査校の無作為抽出等の準備を行い、平成9年2月に実施した思春期発達に関する全国調査の集計・分析が中心である。今回の調査では、無作為抽出された小・中各2400校から、小学校936校(回収率39.0%)、中学校915校(同38.1%)、全体としては1,851校(同38.6%)の資料を回収した。小・中学校とも、全国47都道府県の市部・郡部94地域すべてから回収されている。有効回答者はのべ、73,549人であった。うち初潮に関する有効回答者は、73,336人(99.7%)であった。ただし27人は、本来の調査年齢の範囲を超えていたため、分析対象者は73,309人であった。これは、母集団(平成8年5月における全国の小5から中3の女子在籍者3,618,440人)の2.0%に相当する。学年別の既潮率から推定した、全国の平均初潮年齢は、12歳2.0ヵ月で、標準偏差1歳1.2ヵ月であった。前回の12歳3.7ヵ月から1.7ヵ月低年齢化している。なお、各学年の学年別の既潮率からすると、本調査の対象学年の中でも、5,6年生は、さらに低年齢化が進行していると推測される。昭和30年代から40年代にかけて見られた、いわゆる発達加速現象のような、あらたな性成熟の低年齢化が開始していると考えられる。 日本国内には従来から地域差があることが指摘されてきた。今回の各都道府県別の平均初潮年齢で見ると、沖縄の11歳11.11ヵ月から、滋賀の12歳4.8ヵ月まで分布している。なお、小学5年生の既潮率で見ると、沖縄県の32.7%から島根の14.9%まで分布している。既潮率、平均年齢いずれも国内地域差が見られる。沖縄と東北諸県の初潮年齢が低い傾向が見られる。思春期における健康習慣(朝食回数)、親子関係、女性性の受容のような心理的発達に関しても国内地域差が確認された。
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