研究概要 |
本研究の主な目的は,子ども集団を縦断的に追跡調査し,仲間関係の個人差の変化過程と社会的スキルや社会的行動特徴の変化過程に対応関係があることを明らかにすることである。まず仲間関係の個人差として仲間集団内の社会的地位を識別分類し,人気児,拒否児,無視児,両論児および平均児の地位が時間経過に伴ってどの程度持続するのか,どの地位が最も持続しやすいのかを比較検討した。その結果,人気児と拒否児の地位は長期的に持続しやすいことが明らかとなった。これらの研究結果の詳細は,「幼児の仲間関係に関する研究:ソシオメトリック地位の2年間にわたる持続と変動」(1997)および「幼児のソシオメトリック地位の長期的持続と変動ー幼稚園児から小学5年生までの5年間比較ー」(1999,印刷中)に掲載している(裏面参照)。 次に,地位の持続や変動が子どもの社会的スキルや社会的行動特徴の持続や変化と関連することを縦断的に検討した。幼児期の縦断的研究では,地位の持続が社会的行動特徴の持続と対応関係にあることを明らかにした。また,児童期の縦断的研究では,拒否児の地位の持続は攻撃的行動特徴の持続や孤独感の強さと対応すること,地位の向上は攻撃性の低下や社交性の増加と対応し,地位の低下は攻撃性の増加と対応することを明らかにした。これらの研究結果の詳細は,「幼児の仲間関係と行動特徴に関する縦断的研究」(1998),「子どもの孤独感と行動特徴の変化に関する縦断的研究ーソシオメトリック地位維持群と地位変動群の比較ー」(1998),「子どもの仲間関係と社会的行動特徴に関する縦断的研究」(1998)に掲載している(裏面参照)。平成10年度には,これら5つの研究成果をまとめ,平成8年度〜平成10年度の科学研究費補助金による研究成果報告書を作成した。
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