研究概要 |
本研究の目的は,Child Behavior Check List(CBCL)の日本版を作成し,その標準データを収集するとともに,自閉性障害他の障害や心理学的問題を示す幼児・児童を対象としてCBCLを実施し,その症状毎のCBCLプロフィールを健常児と比較検討することによってCBCLの臨床的検討を行うことであった. 対象者は2〜18歳の健常幼児,児童,青年568名(健常群),および,何らかの障害を持つ4〜18歳の幼児,児童,青年133名(臨床群)であった.なお,臨床群の内訳は,自閉性障害21名,精神遅滞51名,注意欠損他動障害21名,学習障害8名,言語発達遅滞19名,その他の障害13名であった.また,小学校1年生児童78名を対象として,小学校入学後の学校適応とCBCLに対する回答の関連性が調査された. CBCLを翻訳,バックトランスレーションと日米の心理学者,および児童精神医学者による訳語の検討の後CBCL日本語版が作成された. 保護者,または施設等の指導者に記入を求めた. 本研究の結果,(1)健常群においてCBCL問題行動尺度を因子分析することによって幼児,児童,青年の示す問題行動の構造を明らかにする,(2)健常群,臨床群の両群において問題行動別の頻度を比較することにいよって,臨床群の特徴を明らかにする.(3)臨床群において障害別にCBCLプロフィールの特徴を比較することによって,CBCLによる診断可能性を検討する,および,(4)日米におけるCBCL問題行動尺度の因子分析結果を比較することによってわが国における幼児,児童,青年の問題行動の特徴を明らかにするという4つの観点から分析・考察された.
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