研究概要 |
現在ケーブルテレビは,他チャンネル・双方向・光ファイバーといった最新の技術に注目が集まるとともに,双方向機能を活用した新しいサービスの提供の活発化などにより,マルチメディア機能を活用した新たなメディアへ変貌しようとしている.高速大容量及び双方向というCATVのネットワークを活用して,インターネット接続サービス,CATV電話サービスという様々なサービスが開始されている. 本研究では,現代の最先端のCATVインフラ実験の現況を調査した.「NTTマルチメディア通信共同利用実験」に参加している,マイテレビ(立川),スーパーネットワークユ-(浦安),シ-エ-ティーヴィ横須賀(横須賀)の実験.また,東京都が主体となって行っている「臨界副都心マルチメディア実験」さらに,インターネット接続サービスを最初に開始した武蔵野三鷹ケーブルテレビの実情を調査した. さらに,首都圏を中心にした人口集積地でのCATVの動きとは対照的に,農村部でも,都市での市場原理に従った動きとは別の事情からCATVのマルチメディア機能が求められている.大分県のCATVのネットワーク化構想と大山町のCATVに典型的に現れている.それは九州を事例に述べれば,(1)自治体の5割以上が過疎地であるという過疎の問題,(2)大都市への人口移動による地方中小都市の地盤低下の問題,であり,(1)については過疎化の進展が生活基盤施設の整備を悪化させ,それによる過疎化の進展という悪循環が起こり,その解決策としてCATVなどのマルチメディア機能を活用した双方向情報システムが農村部でも求められている. マルチメディア社会における中核的な社会的基盤(Infrastructure)として期待されているCATVであるが,その可能性と残されている課題について考察した.
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