研究課題/領域番号 |
08610238
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
香川 邦生 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (60224341)
|
研究分担者 |
小野 尚子 筑波大学, 心身障害学系, 元助手 (70261766)
柿沢 敏文 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (80211837)
池谷 尚剛 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (70193191)
瀬尾 政雄 (瀬尾 正雄) 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (50114096)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 視覚障害原因 / 眼疾患 / 視力と使用文字 / 視覚補助具 |
研究概要 |
平成8年度の調査においては、全国盲学校70校すべてから4,540名分の個票を、また、弱視学級を設置する小・中学校80校から233名分の個票を回収することができた。さらに、平成9年度においては、視覚障害更正施設等16個所から930名分の個票を回収した。盲学校、弱視学級、更正施設等は、それぞれに特色ある視覚障害原因等の傾向を示したが、以下においては、盲学校児童生徒と視覚障害更正施設等入所者の視覚障害原因等に焦点を当て、推移を含めて得られた知見を記す。 ≪盲学校児童生徒の視覚障害原因等≫ 1 今回の調査結果から全体的に視覚障害原因をみると、先天素因の占める比率が56.2%と最も高く、次いで中毒、原因不明、全身病、腫瘍、外傷、伝染性疾患と続いている。近年における視覚障害原因の推移をみると、先天素因が1970年度調査をピークとして減少していること、中毒については1985年度まで急速に増加しその後はほぼ横ばい状態であること、近年においては全身病と腫瘍の比率が増加傾向にあること、外傷や伝染性疾患の比率は横ばい状態であること等が特徴的である。2 眼疾患の部位についてみると、網脈絡膜疾患が39.4%と最も多く、次いで眼球全体、視東視路疾患、水晶体疾患、角膜疾患、ぶどう膜疾患、硝子体疾患となっている。1970年度調査から今回の調査までの推移をみると、網脈絡膜疾患及び視東視路疾患の比率が毎回増加の傾向を示し、逆に眼球全体の比率が毎回減少傾向を示している。眼疾患については、視神経萎縮の13.7%を筆頭に、網膜色素変性、未熟児網膜症、白内障、小眼球、緑内障、網膜芽細胞腫と続いており、これらが主要疾患を占めている。 ≪更正施設等入所者の視覚障害原因等≫ 1 施設入所者の年齢は、40代、50代が多い点を受けて、視覚障害原因や眼疾患は、高年齢者群に現れやすい特徴を明確に示した。つまり、視覚障害原因では、外傷や全身病がそれであり、眼疾患では、網膜色素変性や糖尿病背性網膜症、ベーチェット病等がそれである。これらの視覚障害原因や眼疾患については、今後の推移を注意深く見守っていく必要がある。2 視力と使用文字についてみると、視力0.01未満の者が37.2%、0.01以上0.04未満の者が20.9%を占めており、重度の視力障害者の入所比率が高いことを示している。また、視力と使用文字との関係は、盲学校とは様相を異にしており、0.01程度の非常に低視力者であっても、普通の文字を常用する者の割合が、点字を常用する者の割合より高くなっている。もう一つ特徴的な点は、視力が上がっても、点字常用者の比率がそれほど下がらない点である。これらは、高齢者の点字学習の困難性とともに、墨字学習の抵抗を点字でカバーしようとする傾向を示唆するものとして注目される。
|