研究概要 |
1.平成8年度は、日本、アメリカ、イギリスの教員給与政策と制度改革の現状や問題を考察するための基礎的研究作業を協力研究者7人と挙動してすすめた。日本については、(1)関係団体への聞き取り調査による問題整理(人事院,日本教職員組合,全日本教職員組合,全日本教職員連盟,全国連合小学校長会,全日本中学校長会,等)、(2)教員給与に関する基礎的データの収集、(3)教員の給与問題に関するアンケート調査用紙の作成と予備調査の実施、等をおこなった。アメリカ・イギリスについては、教員給与政策と制度の動態分析にはいる前の研究作業として、教員給与に関する理論研究を含めた先行研究の整理や教員給与法制の基礎的資料を翻訳・検討した。 2.平成9年度は、前年度の問題整理を前提に、全国市町村のなかから、地域類型別に4カ所を選び教員給与政策や制度に関する教員意識アンケート調査を実施した(配布数3543で回収2023で回収率が57.09%)。調査項目は、1.回答者属性、2.生活、給与水準に関する意識、3.教員の仕事と給与の関係に関する意識、4.教員給与のしくみ、制度に関する意識であった。詳しい調査結果の内容は報告書を参照してほしいが、調査結果を総括的に整理すると、(1)日本の教員は年功的平等的な現行の給与制度・体系を基本的に是認しつつも一部問題や手直しの必要を感じてしる、(2)問題点として個々の教師の努力や仕事の成果或いは責任・職務内容の違いなどが給与面に反映されない点を最も強く指摘している、(3)しかし、直ちに業績・能力給の導入や職務給の強化に賛同するものではなく、むしろそれら施策には抵抗感や慎重な対応を示しているが、(4)業績・能力給の導入や職務給の強化については、男女別、職務別、組合加入非加入別等で評価が大きく異なる等が明らかとなった。
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