研究課題/領域番号 |
08610273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
望田 研吾 九州大学, 教育学部, 教授 (70037050)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イギリス / 専門中等学校 / 中等教育 / 専門化政策 / テクノロジー・カレッジ / 語学カレッジ / 中等学校 |
研究概要 |
本研究の目的は第1には、イギリスの保守党政府による中等学校専門化政策の理念と政策の展開過程を探ることであり、第2には専門中等学校の実態を明らかにすることであった。第1の目的のために専門中等学校関連の文献に基づく分析を行うとともに、第2の目的のためにテクノロジー・カレッジと語学カレッジの校長等に対する質問紙調査を実施した。 まず、中等学校専門化政策の基本的理念として、経済的発展のための教育の強化及び学校教育とビジネス、産業との連携の強化という理念が強く打ち出されていた。それは専門中等学校として最初にテクノロジー・カレッジと語学カレッジが設立されたことにも示されている。すなわち21世紀における基盤産業となる情報テクノロジー部門における人材の養成と、海外でビジネスを展開できる人材の養成を、この二つの中等学校はめざすものである。しかしまた、専門中等学校は3年間という期限内における目標の達成という枠をはめることによって、中等教育全体の水準向上のための重要な要素として期待されていた。このため1997年5月に政権について労働党政府も専門中等学校自体については、水準向上を促進するという観点から、その継続を意図している。ただし、専門中等学校の理念については、それが少数の学校を財政的に優遇するものであるとの批判があることには留意しておかなければならない。 第2の目的に関しては、テクノロジー・カレッジ及び語学カレッジ全校(181校:1996年12月段階)の校長等に対して、カレッジヘの移行の動機、教師・生徒・親の反応、スポンサーの状況、カリキュラム、入学方針、テクノロジー・カレッジ及び語学カレッジの将来についての意見、教育上の問題点などに関する質問紙調査を実施し、94校からの回答を得た。(回答率51.9%)また、質問紙調査と平行して、これらのカレッジから学校要覧、発展計画などの関連資料を収集した。その結果、テクノロジー・カレッジまたは語学カレッジに移行した動機として強調されていたのは、学校予算の増大であった。スポンサーを見つけることの難易については、多くの学校が困難であり、スポンサー探しに多大の努力をはらわざるをえなかったと回答した。特に注目される点は、現在は専門中等学校の大半は非選抜的な入学方法をとっているが、専門化した領域に特化した適性などによる選抜を行ったり、考慮したりしている学校があり、専門中等学校と中等学校における選抜とが結びつく可能性があることである。なお、テクノロジー・カレッジ及び語学カレッジの将来については、大半の校長は労働党政権の下でも専門化された中等学校政策は継続されるであろうという楽観的見通しを持っていた。
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