研究課題/領域番号 |
08610296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 大阪成蹊女子短期大学 |
研究代表者 |
佐野 正彦 大阪成蹊女子短期大学, 児童教育学科, 助教授 (00202101)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 後期中等教育 / 労働市場 / 職業競争モデル / 能力主義 / 高校教育 / 職業選抜 |
研究概要 |
日本では偏差値教育ということばに象徴されるように、学校教育の競争の基準が一元化されており、かつ競争の大衆化状況がみられる。これに対して、欧米諸国では競争秩序が多元化・多様化しており、また能力主義的な競争志向もそれほど大衆的な広がりを持っているとはいい難い。本年度の研究では、多元的能力主義の典型的な国と言われる英国との比較を念頭に置きながら、これらの違いの生じる基底的な要因の一つを次のような学校教育と企業社会の関係のありかたの違いに求めた。 すなわち、英国では、高学歴をもたない若者を新規に採用する際に、雇用者は学業成績をほとんど重視しない。それとは対照的に、日本の雇用者は、ブルーカラーの職業選抜においてさえ、特定の職業や職種に結びついた知識や技能ではなく学歴や学業成績を重視する。英国のように、職種によって細かく横に分割された企業横断的な労働市場を持つ場合は、労働市場における能力評価の基準も分割された労働市場ごとに職種とそこで必要とされる特定の技能・技術の質的な違いを位置づけた固有の基準を持った多元的なものになる。これに対して、日本の企業社会の労働力利用の特質は、個人によって担われる職務を細分化、特定化させることなく、技術革新による絶えざる変化や企業からの多様な要請に対応させるフレキシブルな働かせかたを特徴とする。したがってホワイトカラー、ブルーカラーに関わりなく日本企業が、採用や昇進に際して重視する能力は、特定の知識や技能よりも高い潜在的可能性や幅広い訓練可能性であり、いいかえれば学歴や学力などによって示される一般的な能力ということになる。 このような企業社会と学校の結び目にあたる労働市場における能力評価の違いが、学校教育の競争秩序の違いに大きな影響を与えていることは否定できない。
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