本研究の目的は、戦前の日本人のリテラシー(literacy)を明かにすることである。本研究においては、明治初期(明治20年ごろまで)に焦点をしぼって、主に以下の三つの資料にもとづいて、戦前の日本人のリテラシーを明かにする。 1)『文部省年報』に掲載されている明治初期5県(青森県・群馬県・滋賀県・岡山県・鹿児島県)の識字調査 2)明治14年に筑摩県北安曇群常盤村(現長野県大町市)で行われた識字調査の結果 3)明治17年に起きた秩父事件の被疑者に対する教育程度調査の結果 今年度は上記の1)、2)の調査の行われた現地に行き、資料の補充を行った。特に、これらの調査がどのような理由で、そしてどのような方法で行われたものであるかを調査した。 また、3)については、『秩父事件史料集成』をもとに、被疑者の教育程度(識字程度)と社会的な属性などをデータベースに入力しつつある。
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