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「病棟」のエスノグラフィー〜入院者の疾病・障害観とその形成過程を中心に〜

研究課題

研究課題/領域番号 08610320
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 文化人類学(含民族学・民俗学)
研究機関北海道医療大学

研究代表者

柘植 あづみ (拓植 あづみ)  北海道医療大学, 基礎教育部・文化人類学, 助教授 (90179987)

研究期間 (年度) 1996 – 1997
研究課題ステータス 完了 (1997年度)
配分額 *注記
800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワード医療人類学 / 病院 / 病棟 / 入院 / 患者 / 病気認識 / エスノグラフィー / 病人 / 病気観 / 障害観 / 疾病観 / 参与観察 / 聞き取り調査 / 医療者
研究概要

病棟をフィールドとするエスノグラフィーを描く一環として、入院(患)者の「病気」観とその形成過程を検討した。消化器科と脳外科の2病院においてて患者と医療者双方の許可を得て、入院者への聞き取り調査(対象計41名)と、医師が患者に病状や治療の説明をする面談の観察、看護婦詰所の観察を行った。結果から以下のことが指摘できる。1.入院者は「病気」の状態を理解していても、自身を「病人」だとは思わない傾向にある。これは「病人」というラベリングを避け、自己尊重感を維持しようとする意識によると考えられる。ここから、入院者にとっては「病気である」と「病人である」は等しくなく、「健康である」や「元気である」と「病気である」も対立せずに併存しうる概念だということがわかった。2.入院者は、病気原因や入院の経緯を、生活スタイルや人生経験などを含むライフ・ヒストリーと関連づけて語る傾向が見られた。また、入院中に心配なこととしては、治療よりも、仕事や家事・育児等の生活面での問題を語る人が多い。生活圏から離れた病院にいたとしても、常に生活者として、家族や友人、職場や仕事の関係者、親戚、地域の人との関係性の中に「存在している」といえる。そのため逆に、精神的にも物質的にも「心配をかけない」ために特定の人には入院していることを伝えないという行動も見られる。3.入院が生活上の困難を伴うものであっても、入院体験のプラス面を指摘する人が多い。特に、世代の異なるさまざまな病気の人と知り合い、病気の知識だけではなく、その人たちの生き方・考え方にも触れる機会となり、これは病棟の外では経験できないこととして積極的に評価される。4.病状の理解には医療者による説明が大きく影響するが、病気原因は、医療者からの説明がないことが少なくないため、入院者は自己理解をする。治療の決定は医師に委ねる傾向が強いが、退院等の決定は医師と交渉する傾向がある。

報告書

(3件)
  • 1997 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1996 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] 柘植あづみ: "『病気』と『治療』の概念:日本の産婦人科医の『不妊』と『不妊治療』への視座" 日本保健医療行動科学会年報. 12巻. 238-255 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "病院のフィールド・ワークの検討:『病棟のエスノグラフィー』のための予備作業" 第12回日本保健医療行動科学会大会抄録集. 56 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "入院者の『病気』認識:『病棟のエスノグラフィー』の試み" 日本民族学会第32回研究大会抄録. 128 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "患者の病気観-生活者としての患者の視点から" 21世紀医学フォーラム・京都-QOLを考える-. 3. 152-158 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "「病棟」のエスノグラフィー〜入院者の疾病・障害観とその形成過程を中心に〜" 柘植あづみ 文部省科学研究費補助金研究成果報告書, 104 (1999)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUGE,Azumi: ""The Concepts of "Byoki(Sickness)" and "Chiryo(treatment) : How Japanese obstetrician and Gynecologists View 'Infertility' and 'Infertility Treatment."" Japanese Journal of Health Behavioral Sciences. vol.12. 238-255 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUGE,Azumi: ""The Investigation into the Methods of Fieldwork in Hospital ; preparation for 'the Ethnography of Wards."" Abstracts of 12th General Meeting of Japanese Society of Health Behavioral Sciences. 56 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUGE,Azumi: ""Inpatients' Recognition of 'Illness' ; The Trial of Ethnography of Wards."" Abstracts of 32th General Meeting of Japanese Society of Ethnography. 128 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUGE,Azumi: ""The Views of Illnes ; Through the Eyes of Patients as Existence in the Culture."" Proceedings of The 21st Century Medical Forum, Kyoto ; Considering 'OOL,'. 152-158 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUGE,Azumi: "The Ethnography of Wards ; Focus on the Impatients' Views of Illness and Disability" Research Report of Research Project Grant-In-Aid for Scientific Research (c) 1996-1997. 1-104 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1997 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "「病気」と「治療」の概念:日本の産婦人科医の「不妊」と「不妊治療」への視座" 日本保健医療行動科学会年報. 12. 238-255 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "病院のフィールド・ワークの検討:「病棟のエスノグラフィー」のための予備作業" 第12回日本保健医療行動科学大会抄録集. 56 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 柘植あづみ: "入院者の「病気」認識:「病棟のエスノグラフィー」の試み" 日本民族学会第32回研究大会抄録. (印刷中). (1998)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

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公開日: 1997-04-01   更新日: 2016-04-21  

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